満足度★★★
吊り屋根の下の土俵のようなスペースで繰り広げられる、恋と権力をめぐる、文字通りの「闘い」。音楽やそのパフォーマンスのあり方を参照し、さまざまな演劇実験を重ねるヌトミックの、予想以上に「物語」ではないシェイクスピア劇に驚かされました。
台詞の切り取り方、発語や身体の状態、マイクパフォーマンスや土俵外での演技……といった要素の多くが、テキスト(やそれを重視する多くの上演)の構造分析や批評になっていることは伝わってきますし、そうした作品の中での俳優の立ち方にも関心を持ちました。とはいえ、これらの批評的観点が連なり重なりながら、一つの視座をつくっているというふうにも見えないので、なかなかついていくのが難しかったというのが正直なところです。