玉響ノイズ〜空蝉に、風光る〜 公演情報 えび「玉響ノイズ〜空蝉に、風光る〜」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★

     自分には合わなかったようだ。

    ネタバレBOX

     基本的に開演前に当パンを読まない主義なので、帰宅してから目を通してみたら、ゲシュタルト崩壊などという言葉が作家の文章に出てきたのでちょっと面喰ってしまった。作品を拝見した限りでは、作家の知的営為を余り感じなかったからである。何となれば、主人公・紡は、他人にコミットすることしかしてこず、孤立を恐れ、孤独に耐えて己を深める道を選ばなかった結果、漸く自分が虚ろであることに気付き、何とかしようともがくにはもがくのだが、結局、曖昧模糊とした幻影の中に逃れるだけで一切本質的な対決と選択をせずに時を過ごしてしまう。必然的に彼は己が己として存在し得る地平も知らず、その地平へ至る術も持たぬまま、幻影と共に元の木阿弥に戻ってゆく。問題はこの過程が作家にとって曖昧なことである。対象化し切れていないことが明白であるから、ドラマツルギーが成立しておらず、そのことを意図できていないから己がスタンスに対しての揶揄もなければ、自己憐憫などの知的メスをも己の精神に当てていない。Rimbaudではないが、言葉によって表現する者は自らが己のメスによって生きながら己を手術をするような憂き目を実践できなければならない。そこが表現する者と一般人との差である。矢鱈と意味も無く踊られるダンスは、この虚の齎した必然的結果である。無論、皮相なレベルでのゲシュタルト崩壊はあり得よう。然し、今作にも出てくる2次元に嵌ってイケメン以外には話をできない少女程度の歪みでしかあるまい。2次元に深みは最初から期待できないのだから、せめてそこに明澄性の光を当てて地獄を見せるようなことでもやってくれれば面白かったのだが。

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    2019/06/08 00:56

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