「ボードゲームと種の起源・拡張版」 公演情報 The end of company ジエン社「「ボードゲームと種の起源・拡張版」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    #ジエン社「#ボードゲームと種の起源・拡張版」

    ジエン社が得意とする会話の重ね方。
    時間と場所の「レイヤー」が重なっている。
    今回は、それが洗練され、すべてが聞こえ、何がいつどうなったのかが分かりやすくなっていた(以前は同時発声で重ねることに意味があったとも言えるのだが)。

    観客の集中が必要だけど。

    (以下ネタバレにダラダラ続きます)

    ネタバレBOX

    ジエン社がこの舞台のために作ったボードゲーム『魔女の村に棲む』が作中世界とリンクしていく。

    そのゲームは黒と赤の2種類のカードと「怪物」カード1枚を使い、自分だけが何色のカードを持っているのかわからないまま、他人との会話しながらそれを探っていく。自分が多数派の色に属し生き残るために、自分とは反対の色であろう他人を指さし「殺す」という方法を使う。そのほかに「祈る」「守る」等々のルールがある。

    当たり前のことなのだが、ルールに従わなければゲームに参加できない。
    社会も家族も自分自身が生きていくことは、ゲームと言ってもいいのかもしれない。そのときには、「誰のルールに従うのか」が大切である。自分だけのルールに従って生きることはとても難しい。
    ひょっとしたら「家族」も「社会(生活)」も、ボードゲームで言うところの、「フレーバー」のひとつなのかもしれないのだが。

    「他人の目」が特に気になる。
    「他人の目」は「多数」側にある視線だ。
    まさにこのボードゲーム『魔女の村に棲む』であり、自分の評価(色)は自分では分からないし決めることもできない。「自分が何者なのか」は他人の目が決めることでしかない。
    他人の顔「色」をうかがいながら、自分の棲み処を探していく。
    他人からどう見られているのかが気になって仕方ない。

    この際、魔女に呪われた「黒」なのか、そうでない「赤」なのかはまったく関係ない。ゲーム内でもそこはまったく問われない。
    とにかく多数派でいることが大切なのだ。

    作品内に出てくる人たちは、どう考えても「多数派」とは言えそうにない。そういう彼らが多数派を目指すゲームを作り上げていく様は、とても悲しい。
    多数派でないことのステイタスのようなものを密かに胸にしながらも、多数派に憧れたりする。それは「普通の生活」と呼ばれるものだったりもする。

    東京とは、自分たちのいた場所、ゲーム仲間が大勢いたりして、自分の居場所だったと思い込んでいた場所だが、炎に包まれている。
    逃げるしかないと思い込むための「火事」であって、リアルではないのかもしれない。
    ルールのひとつに過ぎず、本来の意味での「対岸の火事」であったはずが、気が付けば炎はすぐ側までやって来ている。

    「ここはもうダメだと思う」は「ここ“も”もうダメだと思う」なのではないか。
    人を指さすことはできても「自分を指さす」ことはできない。
    「自分は多数である」ということを「祈る」ことしかできない。
    この世界を破壊してしまう「怪物」は自分かもしれないという、口に出すことができない恐れを常に抱えて。
    世界の破壊は(内なる)自己の破壊である。世界を認識しているのは自分だからだ。
    とにかくゲームだけは続けなければならない。

    SNSを辿りながら「界隈」を蝕んでいく「そつある」が恐い。そつあるを演じる湯口光穂さんのイヤな感じがじわじわ来る。明らかに他の人たちとのトーンの違いと、また同様に同じ匂いもさせる上手さ。

    善積元さんの台詞回しがジエン社らしくて好きだ。どの作品でも誰かに語るではなく、自分に向けて話している感じがいいのだ。

    善積元さん演じる根利と須貝英さん演じるエレの、ほぼ無言の会話がとても良かった。根利は、本質的なこと、すなわち(エレにとっての)恐いこと、を言っているのではないか。「みんなが同じゲームをすることはできない」「種が違う」。しかしエレには伝わっていない。というか聞いていないのかも。つまりボードゲーム『魔女の村に棲む』の雑談のようにウソかホントかわからないから、聞き流しているのか。


    6月3日の公演後に実際にゲームを体験した。
    最初のターンで瞬殺されてしまった。笑。
    このゲームは、外野で見ているだけでも面白い。
    人がどう策略を練るのかが面白いのだ。たぶんその「人」が出てくる。
    その人の「色」が、つまり他人からしか見えない「色」が見えてくるということ。

    ゲームをやることないだろうな、と思ってゲームを購入しなかったが、買っても良かったかも、と少しだけ思っている。

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    2019/06/05 03:48

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