ざくろのような 公演情報 JACROW「ざくろのような」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    組織の中で生きることと、自己を生かすことは両立するのか。業績不振でリストラが始まった電機メーカー・サントー(三洋ー電機がモデル)の開発職場を舞台に、どの会社、どの組織にも通じる問題を、問いかけるように描いて見事だった。

    職場、特に大手企業の職場の人間関係を描く演劇は珍しいのではないか。おもに6人(プラス人事担当2人)の登場人物の、上司と部下という立場の違い、能力の違い、性格・生き方の違いが引き起こす軋轢が、見ごたえあるドラマになっていた。職場空間をいくつかのユニットの組み合わせで作った美術もよかった。中央の塔はなんだろうと思っていたら、最後は、日中の企業の勢いの違いを象徴的に示していた。

    ネタバレBOX

    ラストで、主人公の開発リーダーが「おれはいままで、この会社の自由に研究できる環境が好きなんだと思っていた。でも違った。おれはおれを必要としている人のために働くのが好きなんだ」と語る。そして、サントーはもう俺を必要としていないから辞めると。この言葉には、組織の中の働きがいの核心があると思った。

    二年前の「テアトル」4月号掲載の受賞作を見ると、このシーンで会社を辞める理由はただ「上司と喧嘩したから」だった。これが完全に書き換えられて、くだんのセリフに新たに発展していた。再演の大きく向上したところだと思う。

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    2019/06/03 01:36

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