改訂版「埒もなく汚れなく」 公演情報 オフィスコットーネ「改訂版「埒もなく汚れなく」」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    初演と同じ芝居とは思えない。舞台の明度、風景、台本の構成、演技、どれも熟成され洗練され、深まり、冒頭から引き込まれて最後まで一人の劇作家というか、自身と向き合い何かを追い求めた一人の人間を、その同伴者を、彼に連なった者達の存在を感じ味わう2時間10分だった。「あの『山の声』を書いた人の話」を超越して、たまさか演劇をやる事になった人間の魂(と名づけるなら)の足跡、大竹野正典なる人物の人体に宿った魂のあり方の軌跡が描かれている。作品として焦点化される『山の声』は、遺作ながら彼の人生の通過点としてしっかり捉えられて説得力がある。固有名詞から普遍へ、深化した同作に拍手である。
    「お前何で芝居やってんねん」のくだりで漸く初演を「観た」感覚を思い出した。

    ネタバレBOX

    演技陣は初演より1名少なく、キャスティングも練られた感あり、新キャストは半ば今回のお目当てであった、関西土着人らしい(後半は標準語を喋る批評家の役になるが)緒方晋と、芸(演技)達者・福本伸一という高校時代の級友コンビに、初演組・照井健仁演じる若者の恋人役・橋爪美萠里。初演組・柿丸美智恵が唯一次元を超越した役を伸び伸びと演じて笑わせ、誰も立ち入れない心の深い部分での交感を表面化させて見せる主役二人の脇をしっかり固めていた。
    久々に濃厚なアトモスフィアへ熟成された舞台を観た。

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    2019/05/15 03:00

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