期待度♪♪♪♪♪
いつから日本の男たちは、アイロニーを失ったのだろう。
缶コーヒーを蹴って遊ぶのはガキだけじゃない。
しわくちゃの背広を着て、悲哀と上司の小言を総括しつつ、ただ目の前に置いてある空っぽのそれに人生の残響を託したっていい。
「カン」。
飛ばした先は一軒家だった。窓ガラスの粉々になる音。サウンドが激しく興起する。
「こらぁ!」
叱られる、いい歳した男。
俺、のび太じゃん。
この小噺を笑った あなたは今宵のライオン・パーマに引き寄せられる客だ。
ライオン・パーマは、人間の脆さを舐め合う、舐め合う、ビル街のしがない負け組たちが、「アイロニー」によって再生する、いや社会を覆すという壮大すぎる物語である。彼らは語らないストーリーテラーなのだ。
時代遅れのリストに「セクハラ」という文字は存在しない。違う。これは男と女の駆け引きなのだ。言い訳じゃない。
〈昇る朝日か
沈む夕陽か
パッと見、判断のつきづらい午前5時〉
そう、爽やかな朝の日光というけれど、午前5時は夕闇のような寂しさが覗く。何がマジックアワーだ。経っていく空の時間が ふと現実に感じられる。「昇る」「沈む」は180度反対だけれど、もしこれが「沈む」なら、人生また陽が「昇る」なんぞ大嘘だ。「沈む」「沈む」「沈む」、365日「沈む」。そうして24時間 キズだらけの 男でいるのも また、生き様なのかもしれない。
あぁ、ライオン・パーマ、華のある女性キャストばっかりだ。もちろん、その文脈でイチオシさせていただくのは加藤岳仁である。人間車両、加藤岳仁。
古舘伊知郎のプロレス中継風にいえば きっと そうなるのだろう。
圧迫する肉体と、無関係を装う精神力。
ひと場面。いつも視界の隅に入る知らない オッさん。そして、向こうの視界に入るであろう知らない オッさんの、俺。
「カン カン」だ