無敵望遠鏡 公演情報 宇宙食堂「無敵望遠鏡」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    アニミズムとテクノロジーが綯い交ぜになった異星の世界観。エンターテイメントな観せ方の中に色々な課題・問題を提起する社会性を潜ませた公演。タイトルにちなんだラストの台詞が印象的だ。
    物語はある時期の日本の情勢を想起させるところがあり、それに鑑みるとこの公演はある目的地に行くまでの過程を描いている。できればその後の行動(何をするか)をもう少し鮮明にしておくと深みが増す公演になったと思う。それはある程度、物語の中で示唆するか観客の”想像力”に委ねてもよいが…。
    (上演時間2時間)【Bチーム】 2019.5.13追記

    ネタバレBOX

    セットは、2層になっており2階中央に映写幕のような半円、1階中央に神社門(門に鉄鋲)があり左右対称に1/4円の階段があり2階に繋がっている。舞台と客席との間に紗幕があり、宇宙空間・浮遊感あるイメージの映像(ラストは羽の舞い落ち)を映す。

    梗概…2169年(150年後)の異星-ガニメデ星における閉鎖的な状況下から物語は始まる。夜の外出禁止令は、夜空を眺めること、特に地球を望遠鏡で見ることは出来ない。この星を含めた4惑星(総称:ガリレオ惑星)はもともと地球からの移住者であり、地球が汚染し人類が住めなくなったことが発端。しかし、地球は汚染を除去しもとの美しい姿を取り戻していた。ガニメデ星は岩石星で資源が乏しい、また他の3惑星は食物の多交配を進めた結果、危険食が増え生命が脅かされている状況。そのため地球へ...。

    この公演は明治維新を想起させる。鎖国政策は国内統治の観点では重要であったが、世界という枠組みからすると視野狭窄のような。確かに独自の技術や文化等はあったが多面的とは言い難い。その後開国し富国強兵への途を辿ったことは言うまでもない。
    さて、ガリレオ惑星の状況は生存そのものの危機が迫り、何とか地球に打開策を求めるというもの。この求めているものが何なのか? 物語は地球へ行くための飛行技術のコンペや神への生け贄のような神事が展開されるが、あくまで”宇宙飛行の過程”のようで、具体的な目的(成果)が明らかになっていないのが物足りない。ここにラストの「想像力こそ無敵だ」という台詞を適用するわけではないだろう。

    演出...神事(古代迷信イメージ)と飛行(未来科学イメージ)を融合したような世界観は奇妙であるが面白い。それを舞踊とアクションという異なったパフォーマンスで具現化しており上手い。この劇場の天井高の特長を生かし、1階と2階で自星と他惑星という異空間をイメージさせ、また飛行コンテスト等の跳躍・躍動感を演出する巧さ。内容はやや表層的に思えるが、それでもエンターテイメント性に富んだ楽しめる作品。同時に色々なことを考えさせる公演で、観応えがあった。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/05/11 08:08

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