背中から四十分 公演情報 渡辺源四郎商店「背中から四十分」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    渡辺源四郎商店主催の公演で再演モノを観るのは、もしや初めてでは。。
    ナベ源が誇る女優・三上晴香を久々に拝めた。キャラクター頼みの面もあるか、と今まで見ていた所があるが、今回の演技は女優としての幅を(私に)実証した。また、知名度があれば好感度第一位説有力な?レギュラー・山上由美子、残る二役が実力派の客演と、満を持しての感もあるナベ源公演。出ずっぱりの中年男役に、札幌座所属とあるが実力者らしい斎藤歩、旅館の女将に青年団・天明(みょう)留理子。彼女が出てくるだけで期待させ、笑おうと構える我々に期待通り振舞ってくれる。
    そして斎藤と三上の絡みがメインになるが、戯曲、役者とも見事であった。

    ネタバレBOX

    芝居を見終え、幸福感に浸っている。出会う二人がそれぞれ身の上を語りあう終盤、語られる内容がそれまでの行為を裏付ける「謎解き」の答えとなる。言葉頼みの面がある戯曲はそのオチが弱い時に危うさが過ぎるが、作者は意外性があってしかもリアルなエピソードを二人に語らせ、言葉だけで観客を納得させてしまう。妻子に捨てられる父親キャラも滲み出ていて話に説得力があり、三上が陥った誤りとその残酷な結果も、殊更な不幸の陳列とならず俳優はそうなるのが自然である人物を演じて、その姿にため息が出るほどのシンパシーを覚える。この場合、語る者に対してもそうだがそれ以上に、聞く方の心に共振し、舞台上の人物と同じく相手の話を受け止めている。
    笑えて愛おしくなる人情物ではあるが、二人の物語の向こうには、世の中が見えている。

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    2019/05/02 03:12

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