『浮世行脚』(うきよあんぎゃ) 公演情報 片肌☆倶利伽羅紋紋一座「ざ☆くりもん」「『浮世行脚』(うきよあんぎゃ)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    グリーンフェスタ2019「特別参加公演」。新春3館同時公演の1つ。
    「六道追分」に出てくる 鬼アザミという義賊一味の1人が主人公。3館同時公演でそれぞれ繋がりがあるが、当館だけ観劇しても楽しめる。「六道追分」に比べると艶やかさは薄れるが、逆に庶民の可憐だが強かさが滲み出ている。
    (上演時間2時間) *ちなみに3館同時公演だから、上演時間は少し違え出演調整をしている。

    ネタバレBOX

    格子とジグザクに組んだ道のようなもの。舞台美術は簡素であるが、物語を牽引する上で必要な情景は組み込んでいる。逆に作り込んでしまうと、旅物として動きが封じ込められるような。

    梗概…時・場所は江戸。三吉は冥途から鬼達が迎えにきて臨終を待った。ところが息を引き取ろうとした時、ある事からこの世に呼び戻ってしまう。死ぬに死ねなくなった三吉は家を出て旅に出ることに…。この三吉、「六道追分」で妻が病弱でいつか医者になりたかった男の後日談。同時に鬼アザミ一味に加わる契機も描く。この公演の謳い文句”人生の終着点に向かう男とそれを見送る女達の、馬鹿馬鹿しくも切ない人生道中。冥途と東海道を舞台に、人情味溢れる葬送の旅”が始まる。

    この公演の魅力は「六道追分」との関連性で観ると分かり易い。六道追分では追手が迫る中、兄貴分が三吉を庇い逃がしてくれた。その後、真っ当に勉学に励み町医者になったと繋がる。前の悪行を清算するかのような善人ぶりが本公演。
    この公演だけ観れば、江戸庶民の暮らしに寄り添った町医者、愛妻家であり、そんな男がひょんなことから旅に出るという人情喜劇のようだ。どちらにしても人情豊かな芝居を堪能できる。

    前説でもあったが、3館同時上演だから登場シーンに役者が間に合わない場合がある。その時には大目に見てほしいと。自分が観た回は他館から来るのが遅れ、当館では同じシーン(旅物だから、同じところを何度も歩く)を繰り返し時間稼ぎをしていた。もちろん、観客は承知の上であるから笑い笑いの和やかな雰囲気だ。まさしく演劇はライブであると同時に観客と一体になって舞台を作るを実感する。同時に新春公演に相応しい温かさを感じた。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/05/01 12:47

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