新しい星 公演情報 甲斐ファクトリー「新しい星」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    グリーンフェスタ2019参加作品。
    物語はSFジャンルに入るのであろうか。しかしその底流に描かれているのは、現代日本のみならず世界で起きている問題を連想させる。物語の展開や状況説明等は、丁寧な台詞運びであまり混乱することなく観ることができる。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    セットは、荒廃した雰囲気を漂わすコンクリート壁(照明効果でそう見える?)、中央に出入口があり、上手に机・椅子、パソコンが置かれている。ほぼ素舞台で、空間の広がりを確保しアクションスペースを作っている。

    梗概…あるウィルス(体内のミトコンドリア、DNA等が変化し と説明あり)に感染すると高熱を発してほとんど死亡する。原因を探るため世界各国へ出かける研究者。そのうち罹患しても僅かな確率で生存する者がおり、新たに"新人類"として勢力を増してくる。明晰な頭脳を持ち、旧人類をせん滅するような行動をとり、ここに新旧人類の戦いが始まると…。ラスト歪んだ思想のリーダーによる核ミサイルの発射を止められず、原爆投下を思わせる映像が映され…。

    公演では新旧人類の戦いとして描いているが、これは今世界のどこかで起きている紛争やテロ行為を連想する。卑近なニュースでは移民等の受け入れによる民族、宗教またはそれら複数が錯綜した問題として考えられる。仮に移民を受け入れた国が、受け入れによって自国の伝統や文化が侵され始めたと…そんな光景を思い浮かべる。政治経済ほか色々な問題を内包し、理屈を言えば人によって主義主張が異なる危な(怖)いテーマを扱っているような気がする。

    描くのに気をつかうテーマ、それをウィルス感染、新旧人類といった変化球で観せる巧みさ。ただストーリー性重視のためか、登場人物の心情表現が弱いようだ。
    また日本を意識して描いている地名(八ヶ岳など)が聞かれると、近い将来、日本はどのような(外国人受け入れ)政策をするのかを考えてしまう。この公演ではディストピアのような世界観を見せられただけに。
    物語として展開しやすいのかもしれないが、単純に新旧人類の対立(戦い)で良かったのか。このテーマだからこそ、その対立の結果(幸・不幸どちらでも)見える世界は?…をもっと鮮明にし(観客に)委ねるようなラストシーンにしても良かったのではないか。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/04/30 15:02

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