演劇♡顧問 公演情報 神保町花月「演劇♡顧問」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    久しぶりに神保町花月で観劇。その公演「演劇♡顧問」は、人の心の間隙を突くような面白さと、考えさせるを併せ持つような好作品。
    高校演劇地区予選後の演劇顧問による打ち上げ会というワンシチュエーション。そこでは教師という聖職者(職業)ではなく、一人ひとりの生身の人間が描かれ会社組織のような一般的な社会組織にも通じる描き方で、多くの人に楽しめる内容になっている。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    舞台は居酒屋の座敷。壁にはビール会社のポスターや品書きが貼られている。上手にはカラオケセット、下手は出入口と下駄箱が据えられ、その上に片目が入ったダルマと大徳利オブジェがあり居酒屋の雰囲気は十分表している。
    冒頭、「蒲田行進曲」をカラオケで歌っているシーンから始まるが、これによって宴会ということが一瞬にして解る導入の巧さ。この後の暗転が少し長いような。
    この選曲は後々「演劇論」に発展したときの伏線になっている。またマイクを握り喋るシーンがあるが、それは議論が白熱し騒々しさの中で素に戻って激白する、その客観的な姿が滑稽という場面に流されず自己主張しているという硬質感を生む。

    高校演劇の(東京都)地区予選の打ち上げ会といったバックヤードを描いた公演は、選ばれた高校(教師)への嫉妬と羨望に止まらず、演目テーマ(不倫)にケチを付け非難するような展開へ。そして議論は、いつの間にか現実の不倫(三角関係)や高校時代の同級生同士(しずる)の生き方、考え方の違いの言い争いから人間としての優劣に発展する(盗みはやり過ぎか?)。また演劇顧問になっているが、好き好んでなっている訳ではなく、押し付けられてやっているという愚痴と本音。たびたび出てくる台詞...「普通だよ」は、教職は特別ではなく、ここでの騒動原因のような醜態・色恋沙汰も起こすという自虐のようにも聞こえる。

    演劇論はほとんど聞かれないが、それでも つかこうへい の名前が挙がる。しかしいやいや演劇顧問を引き受けている人にとってみれば、その人は誰?ということになる。劇中での無関心は、逆に つかこうへい をオマージュしたような騒々しさの中に「普通」の人間像が立ち上がってくるようで面白い。役名を言い間違えるのも愛嬌と思えるような親しみ溢れるものだ。でもこの人たち面白すぎて「普通」じゃないよな~。

    しずる×ロ字ックの初コラボらしいが、実に自然な演技・バランスだ。熱量は つか作品を彷彿とさせるが、暗喩や皮肉は感じられず思い切り楽しんでいるといった印象だ。それは観客を楽しませると同時に、演劇に対する情熱の現れだろう。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/04/27 23:13

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