バラ色の人生 公演情報 TEAM 6g「バラ色の人生」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    特別養子縁組制度の制定のきっかけになった出来事を題材に描いた本公演、実に観応えがあった。物語は現在と特別養子縁組制度が出来る以前(1970年代?)を往還するような展開であるが、2つの時代はもちろん時間的に繋がっているが、それよりも”心”が繋がっているという思いが観ている人の感情を揺さぶる。
    観せ方は、理由あって自分の出生を知りたい女性、その現在と生まれた時(過去)は時代も状況も違うし、まだ母・娘の関係の展開が出来ていないため場面の描き方が違う。その意味で、2つの時代は別々の物語で紡ぎ、”心”という目に見えない”絆”で時代を結ぶという巧みな演出は見事。
    (上演時間2時間10分)

    ネタバレBOX

    セットは、上手・下手にBoxを不規則に積み上げたようなものがあり、客席寄りの上手にソファー、下手には水商売のカウンターがある。後景は白壁であるが、後半以降にスクリーンに代用される。Boxの不安定さは、人生そのものを思わせる。順風満帆と思っていても、主人公 吉沢カスミ(阿南敦子サン)のように癌が再発し、叔母から血の繋がりがないから相続放棄するよう言われたり、思ってもいない事が次々と...。

    梗概、自分の実親とは? その思いを遂げるため自分探しを始める。特別養子縁組制度が制定される前のこと。戸籍上で辿ることが出来ないもどかしさ。一転して1970年代へ場面転換する。そこでは何らかの事情で妊娠し、我が子として育てられない問題を抱えた女性を何とか救済したい。堕胎させないで、生まれた子を逆に引き取り育ててくれる人に託す、当時としては非合法な行いをしている医師、それを取材しているジャーナリストが登場する。その場所がゲイバーであり、壁に貼られている映画ポスター2枚が重要な役割を果たす。それは「ローマの休日」「麗しのサブリナ」であり、特に「麗しのサブリナ」でサブリナに扮したオードリーヘップバーンの台詞「人生は自分の手でつかむのです。恋も同じです。」が繰り返し言われる。ゲイバーで働く女性とその恋人の悲恋、さらにカスミの実母が生まれてくる子を思う心情が実に細やかに描かれる。

    タイトルはピアフの楽曲の原題ラ・ヴィ・アン・ローズ=「バラ色の人生」であり、ラストにはバラ5本にちなんだ我が子への思い - あなたに出会えて良かったと結ぶ。観客の心を揺さぶり余韻を残す見事な結末(この結末へ導いたのも”ラ・ヴィ・アン・ローズ”とあるペンダント)。この物語はカスミの夫、息子の心温まる家族愛も観せる。気弱であるが妻思い、ぶっきらぼうな息子だが、真実は告げない優しさ、見えているものがすべてではない。その約束は「ローマの休日」のアン王女に扮したヘップバーンの台詞「人と人の友情を信じるように」を連想してしまう。

    脚本は面白いが、それを具現化する役者陣の演技力がなければ果たせない。それぞれのキャラクターや立場を立ち上げ、状況説明・情況表現をしっかり行う。そのバランスが絶妙であった。この公演では、特別養子縁組制度という重くなりがちな話を映画にちなんだ台詞や音楽の妙味を取り入れ(上映)、さらにゲイバーという少し異色な場所で展開(緩和)する絶妙な演出が素晴らしい。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/04/26 23:25

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  • 上演後でお疲れのところ、阿南さんにお声をかけていただきありがとうございました。
    その時にも感想を言わせていただきましたが、良い芝居を観せてもらいました。
    次回作(5月ですね)も楽しみにしております。

    拙文ですが「観てきた!」を書かせていただきました。
                                      タッキー

    2019/04/28 12:08

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