疾風のメ 公演情報 くちびるの会「疾風のメ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    鑑賞日2019/04/22 (月) 15:00

    気弱な男が、自分の能力と向き合い成長していくストーリー。
    ラスト、回収しきれないまま終わってしまった感が残念。
    たとえ解決できなくても、関わったすべてのエピソードそれぞれの
    “その後”が知りたいと思った。
    役者さんの隙の無い布陣は素晴らしい。

    ネタバレBOX

    楠(野口オリジナル)は誰かを傷つけることを怖れて
    煮え切らない事なかれ主義になり、そのおかげで
    彼女に去られたり、池袋でカツアゲに遭ったり、
    介護の職場で損な役回りをさせられたりしている。
    その根本には「相手を睨むと風を起こす」という彼の特殊な能力があった。
    時に人をひどく傷つけるこの己の能力を、彼は怖れていたのだった。
    しかしある日、彼はその力を「誰かを守るために」使うことになる・・・。

    華奢な色白王子、野口オリジナルさんが最初から最後まで
    きちんと服を着ていることが新鮮!
    優柔不断で曖昧な着地点ばかり探っていた彼が、
    自分の力と正面から向き合うことで、否定から肯定へと変化していく。
    野口オリジナルさんのキャラによく合って
    その変化のプロセスがとても面白かった。

    落ち度もあったが、誤解も受けて介護の職場を追われる坪井役の
    藤尾勘太郎さんが強烈な印象を残した。
    リアルな佇まいと、コンビニ店員に転じたのちのクールな言動が
    そのキャラをとても魅力的にしている。

    すごいんだか困った人なんだか、よく判らない(たぶん両方)
    門倉を演じた丸山厚人さんが濃いキャラでこれもまた強烈な印象。

    うまくいかない人生の果て、すべてを吹き飛ばす強風を起こす崖っぷちの楠。
    自分の目が起こす風に意味など要らない、吹かせればいいのだ。
    ラスト清々しい気持ちで風を起こすが、自分の頭と背中に看板が刺さる。
    自分の能力のために、結局重い十字架を背負う楠がキリストに見える。

    特殊な力と同時に十字架を背負った楠の日常はどうなったのか。
    彼女は戻ったのか?職場は変化したのか?
    知りたいことはたくさんあるのに「想像してください」かな?
    若干消化不良で、「タカさんの結末を見せて下さい」と思った。

    どこかポップンのテイストも感じた今回の作品、
    なかなか力強いファンタジーであったと思う。




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    2019/04/23 00:52

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