満足度★★★★
14歳の少女と、中学校(ギムナジウム)の少年たちの性の目覚めを描く。官能的にリアルに性が感じられる。しかしオトナたちの怯懦と無理解が悲劇をもたらす。何もない簡素な美術と、ホイップクリーム(?)を精液に見立てて壁に塗りたくるなど、シンボリックで無機的な演出だが、俳優たちの肉体と演技は生々しく、自慰シーンでは思いがけずこちらも熱くなってしまった。
思春期の純真さが規律と因習で潰されるのは、ヘッセの「車輪の下」を思わせる。ドイツ的主題なのだろうか。
いっぽう、この舞台をもっと微笑ましくロマンチックにしたのが「小さな恋のメロディー」。いずれも昔流行った作品だ。小学校で性教育が取り入れられ、多少は性意識がひらけてきた現代では、この芝居がこのまま青少年に訴えるというわけにはいかないだろう。
伊藤健太郎君目当ての女性客で会場はいっぱいだったが、どういう感想を持ったんだろうか。男目線の演劇だと思ったが。休憩なし2時間10分