満足度★★★★★
鑑賞日2019/04/13 (土) 19:30
失礼ながら、話としては珍しくはない。
正義感の強い検事が、その正義感ゆえに地方へ左遷。そこは警察と暴力団の癒着がはびこっており、警察は点数稼ぎに奔走し、暴力団は私益を肥やしている。それに巻き込まれる人々。
検事はどうするのか、というお話。
しかし、それは単に「筋」ということであり、どのような骨格で、どのような体型にして、どこに筋肉をつけるのか、それが問題。
こちらの舞台では、構成、脚本、演出、演技によって、全てを有体の筋から脱却させている。
前回公演のような、大掛かりなオブジェ(プロペラ機)はないが、箱馬の器用な使い方、壁に貼られた記号の組み合わせ、何となく凝った作りは、とても味がある。(ただし、これら細かいことを覚えることで、芝居への集中が疎かにならないかちょっと心配)
そして、音楽の選局が秀逸、ラストの「青い珊瑚礁」の解放感はちょっと重くなりがちなラストに思いっきり開放感を与えてくれました。
コメディーの部分を大事にしながら、地方都市を牛耳る暗澹たる権力の描写はしっかりしていて、主人公の検察官とその上司との対立には、ほどよい緊張感があり飽きさせない。2時間びっしりと楽しめました。
でも2年1回の公演はもったいない劇団だと思う。せめて年1回は上演して欲しい。