YESTERDAY ONCE MORE 公演情報 劇団アルファー「YESTERDAY ONCE MORE」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    2018年12月(現在)から1988年12月(30年前)へタイムスリップし、あの時こうしてい”たら”、こうしてい”れば”という「たら れば」の世界。誰もが一度は思う、「あの日あの時に戻れたら」という夢のような出来事が…。その時代の世相を現し、必死に生きていた自分と身近な人々に邂逅する。日本経済が激変したと言われる節目の年、未来の自分が客観的に見ていることに苛立ちやもどかしさを覚える。そして思わず行動してしまう姿に可笑しみと悲哀が観える秀作。
    少し外見的なことで気になったが、卑小なことだろう。
    (上演時間 第1部:1時間10分、第2部50分 途中休憩10分) 2019.4.16追記

    ネタバレBOX

    舞台は居酒屋げんの店内。上手にカウンター、中央にテーブル席、下手が店出入口になっている。1988年の店内の壁はうす汚れているが、2018年には小綺麗になっている。昔の方が店も新しく逆のような気もしたが、この間に改装したのだろう。店内に日めくりカレンダーが掛けられ、壁の汚れ具合と相俟って時代の違いを演出する。この舞台転換をスムーズに行う。

    梗概…遠野(60歳)と山田(60歳)は幼なじみ。それぞれ定年退職、結婚周年記念を祝うために旧友が集まり祝賀会を始める。店の暖簾を掛けるために外に出た2人に雷が…気が付いたら30年前にタイムスリップしていた。昭和63年12月22日、バブルが崩壊する契機となった株の大暴落の数日前。友人に株を買わせ儲けさせようとしていたが、それが裏目になった。それを回避するため遠野は30年前の自分を説得しようとするが…。

    過去・現在・未来という一方行の時間の流れは、時間軸の移動があっても同一人物=自分には出会わないという理屈からすれば、この公演は不自然に思えるかもしれない。また過去を変えると、その影響で未来に変化をもたらしてしまうという、時空間移動の物語ではよく聞かれる理屈。物語ではいろいろ行動するが、結果的に(未来を)変えられなかったが。演劇自体がフィクションであるから、理屈抜きに虚構の世界を楽しみたい。

    この公演の魅力は、それぞれの時代背景・環境下でしっかり生きる人の姿を描いているところ。1988年...バブル最盛期の華やかな時代、しかしそこで生きる若者は未来を展望できず悩み、また世間知らずでもある。一方、2018年は震災の影響、貧富等の格差拡大という世相的にはあまり明るくない。しかしここに登場する人々は還暦を迎えても、まだまだ意気軒高といったところ。2つの時代を往還し、それぞれの時代と人物の関係に相似と相異を見せ、一定年齢以上の人には懐かしさ、当時を知らない年齢層には憧憬?を思わせるような公演。そこに共通するのは人の人情、その温かさ。そこにこの公演の面白さ魅力があると思う。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/04/13 00:32

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