南吉野村の春 公演情報 劇団昴「南吉野村の春」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    脚本、演出、演技等、演劇的要素は丁寧に制作し好ましい。その丹誠のような公演は、何かピリッとするものが足りないように思う。
    (上演時間1時間40分)

    ネタバレBOX

    セットは奈良県の南吉野村にある杉本家の居間。上手に縁側、下手に仏壇などが据えられ、本当に生活出来そうな作り込みである。この村は桜の名所で名高い、奈良県吉野村の隣村...観光名所もない過疎地として描かれている。登場人物が5人ということもあり、過疎の雰囲気は出し切れていない。主人公にあたるこの家の次男・杉本龍はヤクザで刑務所で服役していた。村人の地元愛と前科者に対する警戒心、嫌悪感といった閉鎖的な感情表現は観られない。

    梗概…杉本家の兄弟…兄の雄一は真面目な公務員、弟の龍はヤクザの世界へ。龍は対立するヤクザの幹部を襲撃。服役後は兄が一人で暮らしている実家に帰って来る。雄一は、龍が田舎で生活ができるよう、仕事探しや嫁探しに奔走。そして偏屈な隣人、元舎弟の便利屋、お見合い相手など、いろいろな人に翻弄されながらも龍はある決断を…。

    脚本は性格の違う兄弟...ヤクザになった奔放な弟を甲斐甲斐しく面倒見る兄の可笑しみ、隣人のおばちゃんの毒舌と愛嬌、舎弟の律義さ、お見合い相手の色気と愛嬌、そして龍の孤独と遣る瀬無さといったキャラがしっかり描かれ、物語の展開を面白くしている。演出は舞台セットと相俟って情況と状況を描き出す。場面転換にしても映写幕を下ろし村の風景であろうか、季節に応じ向日葵や桜の花を映し出す。観客の気を逸らさない工夫が好い。演技はそれぞれのキャラクター、人物表現を確かにし、脚本・演出内容を具現化(可笑しみ、色気、そして緊張-龍の銃撃のシュミュレーションシーン)していた。技術にしても明け方、夕方など時間を意識した照明の諧調など細かい配慮。全体的に丁寧でレベルが高い。

    さて、書くのが難しいが、端的に言えばインパクトが乏しい。料理に例えればフルコースのようで、運ばれた料理の数々(演劇要素)は美味(上手)い。一方、激辛ラーメンを食した場合、その一品でも印象は強烈である。料理も人によって好みが違えば、食べたい気分によって異なる。芝居も好きなジャンルは人によって違い、観たい演目も気分によって異なる。自分はこの公演を巧いと思うが、淡泊な印象を受けた。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/04/11 00:16

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  • 平林弘太朗 様

    レベルが高く面白いお芝居を観劇させていただき、ありがとうございました。
    次回作品も期待しております。

    2019/04/14 14:52

    ご来場ありがとうございました!!
    また次回作品にご期待くださいm(_ _)m

    2019/04/14 09:42

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