満足度★★★★
第一部
10年位前、まだ銀座セゾン劇場の名前だったルテアトル銀座で
見たときは、正直さっぱりわかりませんでした。
一部も二部も。
麻美れい様のゴージャスな天使姿と、いやに瞳が怖い佐藤オリエが
印象に残った位。あとは何だか舞台の真ん中でゴチャゴチャしていたなぁって印象がありました。主役を第三舞台の人達と、男闘呼組の
高橋和也が、すったもんだの口論していたって感じで、
正直、同じTPT作品だし「~賞」とか取ってなかったら見る事も
なかったと思う。
踊らされているかもしれないけど、やっぱり「~賞」とか取る
作品とか再演を繰る返す作品って何か良い訳で、自分の好みの作品ではなくても何か評価される部分があると思って、演劇ファンとしては
見に行きました。
自分が年をとって、登場人物達と同年代を過ぎたという事もあり
前回よりも、とても親近感を持ってみる事が出来ました。
3時間30分もあるのに、ダレる事なく、ずっと作品に、ノメリ込めれたのは作品の戯曲の持つ力か演出の力か、演技力の力か。
とにかく退屈せずに、飽きることなく、NYの魅力も感じながら
楽しむ事が出来ました。
前回は、芝居の大きさに対して劇場が大きすぎたのかなぁ、
それとも単に散漫なだけだったのかなぁあ・
ほとばしる熱気が手に取るように伝わる空間で
手垢の付いていない新鮮な出演者達が等身大に演じている姿は
とても好感があり、まるで自分も芝居の中にいる気分にいなりました。
ラスト、え?これで終わり?って感じで幕が終わります。
必然的に第二部を見たい、いや見なきゃいけない気分になります。
リピータの方か、誰かが暗転の中で拍手をするから「あぁこれで終わりなんだ」ってわかってしまいました。
少し余韻に浸らせてもらえれば、いいのに、これも鑑賞マナーと思う。
この作品は、生活の中における信仰の役割や、宗教観、他民族国家であるが上の差別、政治、など
アメリカならではの問題点の影響や背景が強く出ています。
島国で単一民族、単一宗教、単一政権な日本で生活している人間は、
ちょっとやそっとの感覚っていうか感触で
「共感」とか「感動」は出来ないと思う。軽々しく「共感した、感動した」なんて言えない重い作品です。
言うなればパリのオペラ座で海老蔵を見たフレンチが
「私は日本人のワビサビに感動した」って言ってるような感じです。
どっかから持ってきた言葉で作られた適当な感想してる
(「感動した」って言ってる自分が好きって人みたいな)
人も多いんだけど、それは僕の視点とは違う。
それでも一つの戯曲として大変完成度の高い作品です。
3時間半、駅のホームにあるような硬い椅子に
じっと座れる人、NYに行ったことがありNYが好きな人、
世の中の出来事に関心のある人には、オススメです。