劇団あおきりみかん其の四拾『ワード・ロープ』 公演情報 劇団あおきりみかん「劇団あおきりみかん其の四拾『ワード・ロープ』」の観てきた!クチコミとコメント

  • 実演鑑賞

    満足度★★★★

    最近の数作品は社会的な事柄を絡めた公演であったが、本作はどちらかと言えば人間、それも家族、友人という近しい人々との絆に力点を置いたようだ。その意味では鹿目由紀女史の関心が人の縁といった運命的なものに向いたのだろうか。この人間観察が実に面白い!
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台美術は、板を半囲いするように鉄塔のような造作が立ち、中央がオープン(素舞台)になっている。後方は空きスペースや衣装ハンガーが置かれている。楽屋裏がオープンになったようなイメージである。だから役者は常時舞台におり、登場場面に応じて舞台上に現れる。物語は過去・現在・未来を行き来して情景・情況が縦横無尽に変化する。まるで中央は時空を操作できる装置、空間があるようだ。この舞台セットは物語の時空移動や絆・運命などのテーマ性をイメージさせ、常時役者が舞台のどこかにいることで繋がっているという”絆”も感じさせるという効果的な作り。

    中学校の校舎裏。この場所にクラスの仲間と20年前にタイムカプセルを埋めた。男はスコップを持って現れ、今日みんなと掘り返すことになっていたが、誰も来ない。一方、自殺しようとしている男と、その自殺しようとする場所を退くように言う少女、その奇妙な出会い。過去・現在・未来を行き来し、いくつもの出会いが交錯し、ロープが絡み合うように展開する。もちろん実際にロープが張り巡らされ、物語の絡み=絆や縁といたイメージと実ロープという視覚効果が相まって物語が重層的に観えてくる。この重層的に見せることによって時空間の移動を思わせる。

    絆や縁は、広範囲なものではなく、父と娘の2人の関係または母も交え家族、あるいは母と息子、中学時代の友達など身近な関係性の中で物語が展開する。この緊密な関係性は、何故、タイムカプセルを1人で掘り起こすことになるのか、父と娘の出会いを邂逅するように描くのは何故か、といった”謎”解きをし易くしているようだ。人間観察は身近な関係性の中で描くことが効果的で、掘り下げもしやすい。

    演技はネタバレ注意の〇〇を使用し、全員が体を張った身体表現で観(魅)せてくれる。それが随所に見られ、その躍動感がテンポの良さになっている。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2019/03/31 22:04

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