クラカチット 公演情報 東京演劇アンサンブル「クラカチット」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    「ブレヒトの芝居小屋」の最終公演がチャペックとはどういうことだろう。
    広渡常敏率いる三期会が東京演劇アンサンブルになって、ブレヒトをやると旗印を鮮明にして東京郊外に自前の小屋を持ったあたりまでは、俳優座衛星劇団の中ではユニークな演劇活動だったが、その小屋での肝心のブレヒトが、旗幟鮮明とはいかず、SCOTのようなメソッドも生み出せず、スターも生まれないと言う事で、今回は地主の意向で小屋をしめる。その残念さが、最後にチャペックをやる、というところにも表れているように思う。
    再演でも、何でもいいからせめてブレヒトをやるべきだった。ブレヒトは最近人気がないが、なんといっても二十世紀の分断の時代を東西両陣営で生きた稀有の劇作家である。しっかり取り組めば、何らかの成果はあったはずである。
    チャペックはブレヒトに似ていると広渡なら強弁しそうだが、これは百年前の戯曲である。原子爆弾時代を予見していると言うが、ファンタジーの世界で、そこでの寓意が今も生きているとはとても言えない。ブレヒトは戯曲になっているが、これは戯曲風に書いたファンタジーだ。カットしても良さそうなところが沢山ある。俳優は一生懸命だが、今なお、志賀澤子が最も安定して見られるようでは、結局、演技も劇団として確立できなかったということではないか。皮肉なことに、装置と音楽がよく出来ていて舞台を引き締めている。朝日新聞劇評は小屋閉めのようなセンチな時は見境なく甘くなる。これでは劇評ではない。3時間15分。夜十時をかなり過ぎて、武蔵関の田舎道に出てくると寒さが身にしみた。

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    2019/03/29 00:26

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