テースターズ 公演情報 京央惨事「テースターズ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     良く練られた科白に、地に足のついた演技、演出にも無理が無い佳作。70分強の作品だが、このくらいの尺の作品が多いとのこと。中々楽しめる。大人向け作品だ。(華4つ☆)

    ネタバレBOX

     鰻の寝床のような空間なので、結構使い方には悩むと思うのだが、今回は最もオーソドックスな形。奥に劇空間を設定し入口側に高低差を設けた客席パターンである。出捌けは入口側から。正面奥にはホワイトボード。その手前に3x6尺程度のテーブル、テーブルカバーがWで掛けられている他、上手壁際のやや客席寄りに座椅子が置かれている。テーブル奥には椅子3脚、左右各1脚。
     物語は、最も大切なものを捨てる為の講習会が舞台、無料ということで、大家以下、集合住宅の住人が集まった。講師も住人の1人だが、大学では人間の行動原理を学ぶため、哲学と心理学を学んだという主婦。三々五々集まってきた住人同士で会話が弾むが、大家は建物管理の必要から監視カメラを設置、自分で画像を時折チェックしているから、住人の様子を良く知っており、誰と誰が浮気をしているか、どこの夫婦は仲が良いか等々を詳しく知っている。そんな秘密を漏らすと、ちょっと危ない他人の話は格好のネタとして話が盛り上がる。
     さて、講師がやってくると、中々手際よく狭い住空間に住みながら、何故物が捨てられないのか? ということの説明や、捨てる為のディスカッションなどをこなしてゆくのだが、予定に入っていなかった電気工事等で講演が中断、人々がばらける中で、既に話のネタにされていたのとは異なる不倫カップルが明らかになったり、大家の盗み癖が明らかになったり、不倫カップルの片割れが実はゲイ的な指向を持ってていたり、仲睦まじい筈のカップルには、互いに納得ずくの夫婦愛は存在したことが無かったことなど、かなりシビアな話が展開してゆく。而もその逸話のどれ一つとっても、日常にありそうな、刑事犯罪になることはなくとも、なあなあでうやむやにされては居ても、ああ、あるよな、という小さな悪のオンパレードだ。おまけに講師が実は金に困っており、怪しげな効能を口上で述べ、怪しげな水をトンデモナイ高値で売る為の入り口として、こんな講義を主宰していたのだった、ということも明らかになる。このからくりを見抜くのは、巫女風の能力をの持つ女性で矢張りこの建物の住人、カモになりそうだった主婦を救うと同時に、講師をも感化してしまった。すると、既に誰一人として罪を免れる者が無いことが明らかになった時点で、皆は彼女にどうすれば、贖いの生を送ることができるかを訊ねる。彼女の答えは「己の利益を考えず他の者の為に尽くすこと」であった。だが、そう答えた彼女がラストで、己にも罪があるような科白を吐く。暗転。

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    2019/03/26 01:04

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