桜の森の満開のあとで 公演情報 feblaboプロデュース「桜の森の満開のあとで」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    現在の我が国の問題を浮き彫りにする、強いメッセージ性を持った舞台でした。

    ネタバレBOX

    最初は単位取得や“A”を取る目的で学生達が参加したはずのモックカンファレンスでしたが、国家の目論見迄が露見したことによる後半の展開は圧巻です。
    当初は単なる田舎町の姥捨山条例の制定の可否を問う、といった一見他愛のない話に見えました。が、実は国策を進める為に日本の過去の黒歴史を知っている者を排除していく。という国家の陰謀が学生達を洗脳し、巻き込みを謀る驚きの話でした。
    議論終盤の武川教員からの一言により、なぜ教員が市長として学生達のディベートに参加していたのか、賛成派の「議会」と「総電」が学生の言動を超えた動きだったのか、という冒頭の疑問が全て払拭されるのですが、同時に新たな恐怖心が芽生えてくるんですね。
    原発についていうと、舞台上の時間設定は今から2年後、即ち東日本大震災から10年後ということになります。福島第一原発は震災後40年で廃炉にするということでしたが、燃料デブリの取り出しが出来ず、ロボットで中を覗いているだけで手が付けられないんですね。除染土や放射能を帯びた冷却水の処理も目途が立っていない状況です。これらがどんどん増え続けて事態はより深刻になってるんですね。
    また自衛隊の話でいうと、自衛隊は“後方支援”のみであり、戦闘は決して行わないはず、というのが全国民の認識だと思っていたのですが、何故か米海兵隊との軍事訓練を行っているんですね。仮想敵国に日米で交互に実弾で攻撃を加える練習なんですが、これを戦争といわずに何というのでしょうか。観劇前はあまり現実味を感じていなかったこの舞台でしたが、学生の自衛隊員の兄の戦死や原発の地域との親密化、といった話があり、現実味があり過ぎて驚きでした。
    舞台評価になりますが、今回の役者の皆さまの熱演は本当に素晴らしく、中でも国家に贖えない苦しみを演じた池田智哉氏、冷静沈着にディベートをまとめ上げたニュームラマツ氏、この二人の迫真の演技は高く評価させていただきたいと思います。
    演出面に於いては賛成派と反対派が文具とネームプレートを持って座席移動させたことによる対峙感効果はとても素晴らしかったです。
    密室劇に於けるfeblaboさんの空間醸成の上手さには大いに敬服いたしました。

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    2019/03/24 23:15

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