殺し屋ジョー 公演情報 劇団俳小「殺し屋ジョー」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    うっかりしていたら見逃すところだった。
    行き届いた戯曲を手堅く纏めている、という印象であった「俳小」が大変貌である。
    入口はやはり戯曲だったのだろう。アメリカではすでに人気作家というトレーシー・レッツの戯曲は、現代アメリカ戯曲の一面として強く持っている反社会性、暴力性、孤立性、家族への深い憧れと懐疑などを、お家芸のハードボイルド・ミステリ調に詰め込んだ二十数年前の若書きである。(日本初演)薬物販売の下っ端の若者22歳とその妹20歳の切ない青春ものとも見える。警察官でありながらアルバイトに殺し屋もやるという悪徳警官ものでもある。
    舞台の物語は二転三転、筋だけ書いても意味がなさそうなハチャメチャの展開ながら、さすがアメリカの本だけあって、よく出来ていて、見ている間は乗せられてしまう。演出がシライケイタ。劇団温泉ドラゴンの主宰者で、そこのいわいのふ健と、外部から山崎薫が客演、総員5名の俳優で、現代社会の普遍に迫る世界を作り上げた。小劇場だから、俳優の技量を越えたナマの迫力がある。失礼ながら、いわいのふ健以外の俳優はいままで記憶に残っていなかったが、これで忘れられない役者になった。
    シライケイタに星五つ。完全に満席。いい芝居が入るのは素敵なことだ。二時間二十分。珍しく休憩があるが、これもよく考えられている。こういう身も蓋もないアメリカの現代劇は今までもやってこなかったわけではない(サムシェパードやマメットなど)が、今回は最も旨く行っていると思う。今回は上演回数が少なすぎた。少し長い再演を待っている。

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    2019/03/23 10:41

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