伯爵のおるすばん 公演情報 Mrs.fictions「伯爵のおるすばん」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    吉祥寺シアターの後方席がどうも苦手でこの日も開演ギリギリ到着、これは居眠りかと心配したが、予想に反して指定席しかもこれ以上ない良席であった。
    この長さをMrs.fictionsがホントにやるのか...上演時間2時間50分を知らせる貼紙を見て思わず訝ったが、終わってみればMrs.fictionsらしい(と言っても数えるほど回数、否、分数見ていないが)ウェルメイド志向の舞台である。開幕前から布の映写幕に数字が刻まれ、三桁から四桁台、千数百と来れば「伯爵」のいそうな年代、西暦だと悟る。明転するとタイトルの「伯爵」の一般的イメージに相応しい西洋式の邸内である。全く先の読めない始まりから徐々に法則的なものが見えて来てもなお予測は裏切られ、観客の連想速度が上がって終盤は追走劇並に加速といった感じ。
    さて物語の方は伯爵年代記という趣向で幾つかのエピソードが時系列に展開。主人公を除いた登場人物がその都度変わるが、前に出た役者は出て来ず新たな俳優の顔見せと相なる。この形式の芝居ならヒロイン以外の脇役には同じ役者の変わり身を楽しむのが定番と言えるが、敢えてそうしなかったらしい。
    開演中につき詳細に触れないが「各場面は芝居全体のために、芝居全体は各場面のために」との精神を折り目正しく守りつつ「メッセージのため」への目配りもしつつ、芝居好きが作った芝居ありきの芝居だ。(これをどう解釈するかはお任せ)

    ネタバレBOX

    作り手の心優しさとサービス精神を受け取ったが、私としては厳しさを今少し過量してほしく感じた次第。主人公の運命に既にそれは「ある」と見るも可だが・・。前半の心疼くエピソードはドラマ全体のトーンを支える重しにはなっているが、それだけに後半もそれに見合う「厳しさ」が欲しいという事になるか。ポイントは主人公にとってハードな時期であるラスト前、「拗ねて」いるのは意表をついた展開という事だろうか。しかしここは深遠を覗いた者特有の「達観」(諦観)が見たい。どんな人生経験もやがて訪れる平安のための「必要」であった、との王道なメッセージに繋げるのがこの作品の収まるべき場所であり、その上でしかラストに「愛の形」は見えてこないように思う。もし「敢えてそれを避ける」のであれば、意図的である事がはっきり判りたい。

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    2019/03/23 08:29

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