桜の森の満開のあとで 公演情報 feblaboプロデュース「桜の森の満開のあとで」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    今、日本社会が抱える、そして多分、将来確実に切実になるであろう問題についても、いろいろと考えさせる見ごたえがある濃厚な舞台でした。

    これは、単なる大学ゼミ生の模擬会議としての域を遥かに越えています。特に、中盤以降が凄い。
    各登場人物の背景の落とし込みがしっかりされて、白熱した議論がリアリティーに繰り広げられ、とても面白かったです。

    お勧めです。

    ネタバレBOX


     入場時に劇中で使用する会議資料が渡され、その資料は丁寧で実に詳しく、授業の狙い、内容、模擬会議のルールや地域状況把握の出来る地図、議題、参考データ等が書かれていて、自分も会議に参加しているかのように、よりリアルな感覚になりました。

     模擬会議の演習議題
    【老人の選挙権を奪うか否か】

    条例『高齢化した市民による投票権の放棄、それに付随する追加条例』
    ①65歳以上の高齢者は選挙権を放棄する
    ②当要請を受けた高齢者に関しては手厚いサービスが受けられる

    市議会で採決された特区のための議案の是非を問う。

     民主主義国家において、一見無謀とも思われる議題に、賛成派と反対派の白熱の議論が展開されて、条例に賛成すれば、国から助成金が10年間200億円貰える。と反対派への揺さぶり。
     また、原発が誘致される地域は財政が貧しい地域で、補助金で潤おわせ、足元の弱みをみたやり方で反対派を黙らせるという従来から行われているようなやり口が見えてくる。
     反対派有利になった時に市長の諦めともとれる悲痛な一言…そこから見えてくる日本の“民主主義”の現状… 耳障りのよい表向きの大義名分の裏に巧妙に隠された真意...

    しかし、
     全ては、クライマックスの後方支援で海外で戦死した兄を持つミユキの一言、『当事者でない』だから、反対!に集約されているように思えました。
     この言葉には、何も反論が出来なくなる....
    とても重く、胸に鋭く深く突き刺さる言葉でした。
     国の重要な事項を当事者でない者に任せていても良いのか?口を閉ざさず、積極的に係わらなくていけない。と言っているかのように思えました。

     後にして、窓を締めた(耳を閉ざした)行為は、当事者になりうる危険性があるという意識がない現在の若者そのものである、と

     この作品の中には、いろんなメッセージが込められていると感じました。

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    2019/03/22 01:44

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