ELECTRIC GARDEN 公演情報 楽園王「ELECTRIC GARDEN」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    現実と夢想が交錯するような物語。それは行動と思索するような人間描写で表現しているが、少し解り難い展開もあった。全体的に勢いがあるが粗削りのような印象を受ける。
    (上演時間2時間強)

    ネタバレBOX

    客席はコの字型で、舞台を半囲いし中央に一段高い式台のようなものがある。客席がない所には建築現場で見られる(パイプ組)足場のようなものが立つ。
     
    梗概…男が、不良とみられる人物を次々に殺害したという独白で始まる。殺害事実は認めているが、それでも自分の味方になってくれと懇願する。取り調べと並行して語りかけてくる死者たちの戯言。パイプ組の足場が死者らの居場所になる。一方、男とは別に彷徨い続ける女が引きずるような足取りで現れる。脈絡のない展開のように思えるが、後々繋がりを持つ。実はこの過程が多重交錯するようで解り難い。抗いきれない感情、それは加害者である男が死刑になるまで生かされ、一方被害者はすでに死へ、その理不尽な状態に対する不可解な叫び。

    物語は、いくつものエピソードが組み込まれ多重化しているようにも思える。それは単にパイプの上部から見下ろし話しかけるという見た目のことではなく、”こちらの世界”と”あちらの世界”という異空間・異次元とでも言うのか、その雰囲気の違いが「現実」と「夢想」のように思える。男がいる世界が現実、女が彷徨っている世界が夢想、そして死者がそれぞれに語り掛ける。しかし男の取調室のシーンが夢想から醒めると病院での診察を思わせるシーンへ転換する。一瞬にして男は精神疾患患者を思わせる。全体が虚実交錯するような独特の世界観を形成している。

    演出...卒業式で見られる”呼び掛け”のような台詞。会話という台詞ではなく、言葉の重ね合わせのようであり、メッセージでもある。音楽は抑揚のない低重音が坦々と流れる。それが何となく不気味な雰囲気を作り出す。現実と非現実を曖昧にし、混沌とした状態から現実を浮き彫りにする。その型に捉われない、粗削りだが勢いのある公演は観応えがあった。
    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/03/21 00:29

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