TOCTOC あなたと少しだけ違う癖 公演情報 株式会社NLT「TOCTOC あなたと少しだけ違う癖」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    登場人物は7人「無くて七癖」…もちろん意味は違うが、うち6人が困り悩んでいる癖があるという悲観を題材にした喜劇。物語の展開も面白いが、何といっても独特な”癖”の設定、それを役者が十分表現する力は観応え十分。”癖”になりそうな公演、しっかり堪能させてもらった。
    (上演時間2時間)

    ネタバレBOX

    セットにスタイリッシュという表現が合うか分からないが、殺風景ではないが温かみも感じられない空間。中央に大きな雲形半円のようなテーブル、椅子が置かれ、中央奥に飾り棚、上手に本棚が置かれている。後景にはいくつもの線(紐)が張られ、舞台上(板)には白線が描かれている。もちろん癖に関係している。

    梗概…神経精神科の専門医ステーンは、その道の世界的権威。患者は人には話せない癖、これを直したいという切実な願い。しかしこの医者は、同じ患者を2度診ない。ようやく予約を取りつけた悩み多き人々が、この医療施設を訪れている。本日の予約患者6人が待合室で待っているが、出先からの飛行機が遅れ先生が到着しないとの知らせが入る。途方に暮れる6人が取った行動とは…。

    この公演の魅力は、その特異な癖とそれを演じる役者の演技力であろう。一人ひとりの癖とそれによって嫌な思いをしている心情が丁寧に描かれる。もちろん癖の特徴は独特で現実にそんな人が居るのだろうかと疑問に思うようなもの。人は本人が気づかない癖があり、公演ではその癖をオーバーに描くことで現実から距離を置く。劇中人物は少し漫画的になり、癖はその人の特徴になり全体像と捉えるようになる。癖=性格付けは物語を展開する上で重要であり、これが6人だけのグループワークの見せ場に繋がるという巧みさ。この中で、反復症の女・リリィを演じた井上薫サンの演技が素晴らしかった。

    原作のローラン・パフィはフランス人。物語の中にはフランスの情景や特徴を織り込んだ場面も見られ、感覚的に解り難い所(人生ゲーム内⇒その場所が娼婦街というイメージ待てず、嫌悪感が伝わらない等)はあるが、”何か”をもって気持をまとめる。そこへの導きは巧み。それを契機に、一人ひとりが他者のアドバイス等を受け癖の直しに立ち向かう姿を描く。この人の痛みをデフォルメして悲劇を喜劇として観せる、実に面白かった。

    次回公演を楽しみにしております。

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    2019/03/09 11:51

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