満足度★★★
観たいと思っていた劇団。やっと、今回観劇。私が住んでいるのは日本。ごく普通の毎日を送っている。虐殺も、戦争も、革命も、貧困も、人種による差別や迫害も、ある意味隣り合わせでないし、深く考える事がない。そんな私が観た今作。大きな殺戮を行ったポルポトの若き日の話。ポルポト、名前は聞いたことあるけど、詳しくは知らない。ただ、確実に狂っている事。言い方があってるかどうかはわからないが、私はそう感じた。頭が良いのかもしれない。根底にある「平等で格差や階級のない社会、財は皆で分け合うもの」というのが共産主義の考え。それはひとつの考え方であってよいものだとおもう。しかし、極端なポルポトの政策はある種「自分に都合の良い人種を作り上げる」という感じがする。そう、今作のように「自分に都合の良い組織を作り上げる」恐怖を若き日のサロット・サル、のちのポルポトは行った。俯瞰で観る私からは「なぜ、あそこまで確固たる信念・思想がある人さえも洗脳出来えたのか?」疑問だった。実際のポルポトはそうだったのかもしれない。でも、少し今作ではその「なぜ?」を感じるまでのポルポトが私には伝わってこなかった。劇中の中でのポルポトが徐々に行う方法。私たちの身近でもあり得る。クラスでいじめにあったとき、主犯格はまず、私の周りの友人から私を引き離す。複数で私を中傷するような話をする。ただ、最終的に主犯格に服従させるか、させないか、そこが違う。いじめはあくまでもその対象者をいじめるだけ。イム・ソテア(前園あかり)が回想することで、すすむ今作。
私は、彼女の老いて、過去の区切りをつけたくてもつけられない
もう、やり直すことのできないあの時代を想い出す横顔に、最後の叫びに
ただ、苦しい気持ちが伝わり、悲しくなった。
重い題材だが、劇中劇の際のクアン・シパン(大原研二)の良いバランスの柔らかさの演技、弁護士としての真摯な演技。絶妙な味付けの大原さんだった。
初めてのAmmo。出来れば、また次も拝見したいとおもう。