満足度★★★★
フランスの芝居だなぁ、とつくづく思う。
精神診療科に集まったそれぞれ直すべき癖を持った六人の患者がそれぞれの少しだけ違う癖の日常生活との落差で笑わせる笑劇である。フランスではどのような劇場で上演されているのか知らないが、生活に近い場所にある小劇場などで、少しは知られた俳優が入って、観客も普段着で見る商業演劇なのだろう。教訓めいたテーマもあるがそれはどうでもいい内容で愉しみのためだけの舞台である。
こういう芝居を劇団お柱にしているNLTにルー大柴が参加した小劇場プロデュース公演だ。数年前の再演らしい。賀原夏子が健在だったころはもう少し大きな劇場で二週間以上やっていたような記憶があるが、この舞台もそつはないのに百人規模の劇場が8割程度の入りだ。結局、この手のフランス演劇は、フランス土着の国民の好みに深く依存していて、日本にはなじめないのではないかと感じる。演劇を見て分かる国民性、というものもあるようで、日本人は新喜劇の方がくつろいで笑えるのだ。この芝居はこれで完成していて、どうすれば苦労に見合った客が来るか、という質問には回答がなさそうな気がする。