満足度★★★★
時代を打つ社会劇を旗印にしたこの劇団らしい快作だ。
さまざまな正義がせめぎ合う現代の閉塞感を、いくつもの面からドラマにしていて、面白く見られる。最初はもっと客席笑えば、と思いながら見ていたが、いや、結構この問題若者にとっても切実なのだな、と問題の根の深さを感じた。社会劇と言うより、後半は風刺劇みたいな展開になっていくのだが、そこでようやく笑いが出る。
だが、劇としては、その三幕がいささか性急で、説得力にも欠ける。この作者なら、「背水の孤島」で見せたような見事なエピローグも考えられただろうに。前半のタテマエ合戦が面白く、喫煙と言う小道具の使い方や、町長が変わってしまうあたり、ニヤリとさせる。
ここのところ少し、方向を失っているように見えていたこの劇団だが、復調の兆しが見えた。時代としっかり向き合って観客を興奮させるような作品を期待している。