ビョードロ 公演情報 おぼんろ「ビョードロ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    自らの血でウィルスを創り出す能力を持つ一族、ビョードロ・・・。
    人間の欲望に翻弄される彼らの悲劇が5年ぶりにパワーアップして再演された。
    サーカスとダンスが投入されたことで、一層ドラマチックな表現になっている。
    次の展開も、結末も、わかっているのに泣けてしまう、おぼんろの世界再来。

    ネタバレBOX

    新宿FACEの7階へは初めて行った。
    初演の時より装飾はさっぱりしているようだ。
    いつもながら四方から観る舞台、役者が縦横に駆け回る3Dの場内。
    初めての参加者には「体験してほしいのでこちらの席へ・・・」と案内し
    常連の参加者には「来てくれてありがとう!」と手を取ってくれる。
    本番前の語り部たちに物語の重さや緊張感はなく、
    本当に来てよかった、と思わせてくれる歓迎ぶり。
    ここしばらく、仕事や体調の都合でおぼんろの舞台に行けなかった私だが
    久しぶりに行っても覚えていてくれることがとても嬉しい。
    この楽しさが、演劇に親しむ要因ともなっていることを実感する。

    さて、物語はいきなり悲劇から始まる。
    血液から病原菌を創り出す能力を持つ一族ビョードロは、
    細菌兵器を作りたい軍に利用された後、危険すぎる、と抹殺されてしまう。
    村ごと焼き払われたその日、偶然外へ出ていた少年二人が生き残る。
    タクモ(末原拓馬)とユスカ(鎌苅健太)は、森に隠れるように
    ひっそりと暮らしている。
    ある日、一人の男(さひがしジュンペイ)が二人を訪ねて来る。
    彼はユスカの父親だと名乗り、細菌兵器を作ってくれないかと持ちかける。
    ためらいながらも、やっと会えた父親を喜ばせたいユスカは
    最強の兵器をつくることを約束する。
    そして二人の血から生まれたのが「ジョウキゲン」(わかばやしめぐみ)だった。
    やがてジョウキゲンは、タクモ達の予想をはるかに超えて強力になっていく・・・。

    最強の兵器が誕生するシーンのおどろおどろしさ、不穏な空気や
    ジョウキゲンがそれと知らずに人々を死に至らしめる様が
    サーカスの驚異的な身体能力を活かしたダンスで表現される。
    これから起ころうとしている不吉な出来事を想像させて非常に効果的。
    “踊る”というより“身体を使って空気を表現する”ような動きが素晴らしい。

    今回もわかばやしさんのジョウキゲンが秀逸。
    タクモを喜ばせたいという無垢な思い、
    後に裏切られ利用されたのだと悟って息絶えるまで
    全ての感情を細やかに台詞に乗せる。
    なんと可愛らしく、そして怖ろしく孤独なことだろう。
    初演よりもテンションのメリハリがついて、ラストが一層悲しく哀れ。

    さひがしジュンペイさん、ここ2年ほどでシャープになり色気が増したと思う。
    おぼんろでは悪役が多いが、それも人間の一側面であり、
    私たちの中にある欲望を取り出して見せてくれる存在だ。
    だから憎めないし魅力的であって欲しいのだが、それを完璧に体現してくれる。

    それにしても末原さんが紡ぐ物語はいつも驚きに満ちている。
    微妙に時代とシンクロする内容、絶対泣かせるキャラと台詞、
    それに何といってもあの演劇スタイルを生み出す自由奔放さ。
    表現者と同時に、物語の書き手として、素晴らしいと思う。
    次はどんな物語を語ってくれるのだろう。
    誰に、どんな台詞を言わせるのだろう。
    このおぼんろのチームワークの良さにますます期待したい。

    ユスカ役の鎌苅健太さんが透明感あふれる演技で素敵だった。
    もうファンの多い方だが、私は観たことが無かったので、
    この方の他の舞台も観てみたいと思った。
    今回の驚きの座組み、大成功じゃないですか!?








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    2019/02/16 00:00

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