芸人と兵隊 公演情報 トム・プロジェクト「芸人と兵隊」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    作・古川健、演出・日澤雄介、とくれば、チョコレートケーキ。タイトル「芸人と兵隊」とあれば、これは芸能と戦争に関する秘話をもとに反戦大討論会か、と予期して見に行ったら、そこはまるでこちらの見当違い。当代の売れっ子の方が一枚上手だった。
    かつて、中間小説にならって、中間演劇と言う商業演劇のジャンルがあって、新派や新国劇、新劇のプロデュース公演には楽しめる作品 (そういえば、中野実などという達人がいた)があったものだが、ここ三十年ほどで駆逐されてしまっていた。ところが、最近、中劇場プロデュース公演や地方まわりの興業になどで、この路線の作品を見かけるようになった。
    「芸人と兵隊」は「南の島に雪が降る」のような戦時中芸能秘話で、笑で戦争をなくす、とか、戦地でこそ兵隊には平時の芸が必要だ、とか、いかにものテーマはあるが、纏めは人情劇。いつもの古川節とは異なり、呆気ないほどわかりやすい。だが、中間演劇は全体の座組みも重要だ。本と演出はこれでいいとしても、このキャスティングには大いに疑問が残る。村井、柴田はさすがベテランで畑違いの戦前の芸人世界らしい雰囲気を出しているが、あとの四人は期待の新人ではあろうが、戦地に駆り出された場違いの芸人を演じるにはキャリアが足りない。これは本人たちの責任ではなく、キャスティング・エラーである。今は芸人ばやりなのだから、芝居の出来る芸人や落語家が、せめて半分(四人うち二人)入っていれば、戦地の慰問隊の楽屋の雰囲気も出たことだろう。中間演劇は大人の芝居で、こう青臭くては折角の柴田の好演も飛んでしまう。中間演劇はウエルメイドで、しかも時代をはずさない、商売になる、という課題がある。ややこしい問題劇ばかりが能ではないから、トムプロジェクトのこの路線の作品も円熟していくともっと劇場は楽しくなる。。

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    2019/02/15 00:05

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