夜が摑む 公演情報 オフィスコットーネ「夜が摑む」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    鑑賞日2019/02/04 (月) 19:00

    異様な出だしだ。
    団地の部屋を訪ねてくるセールスマン、彼は幾つものドアをノックしては、居住人に「ここは私の部屋ではないですか?」と尋ねる。もちろん、居住人はここのは自分の部屋で、あなたの部屋ではないと突っぱねる。
    しかし、セールスマンは「あなたの部屋かもしれないが、私の部屋でもありえますよね。」とひつこく食い下がる。
    そして、また別の部屋へ行き、、、、夜を迎える彼は、自分はどうやってこの夜をやり過ごそうかと途方に暮れる。

    ここから、4階に住むコスギと、すぐ下に住む3階のヤマモト一家や団地の住人との二重の芝居が繰り広げられる。不眠症に悩むコスギは、ヤマモト家から漏れ聞こえるピアノの音に悩まされているのだが、彼は妻の心遣いと小学生の息子との会話に、時間を費やしながら、でもというお話。

    深夜1時過ぎに帰ってくる息子、また何か得体のしれない存在が室内を往来するしい。コスギの奇妙な言動と、団地住民の異常にハイテンションかつ無神経な行動は、ひたすら加速し、暴走しはじめる。しばしば挟まれる騒音とも、皮肉とも、あるいは無意味ともとれるユーモアは、話の進行にグロテスクさを増幅させ、観ていこちらの神経をとにかく氷つかせずにはいられない。

    他の方も書かれているが、声を上げた笑う観客がいるのは不思議だけれど、クスクス笑いがやたらと漏れ聞こえるのはなぜなのか?ここはその無軌道さに恐怖する場面ではないのか。

    ネタバレBOX

    子供が育てたクラゲは、ただひたすら大きくなって、ついには水槽に飼えなくなると、屋上の貯水層で飼うことになり、そのクラゲは巨大な夜に変貌していく。その夜に追いかけられるようにコスギは団地の住人たちに向かって、夜(クラゲ)の恐怖を伝えようと試みるが、誰にも相手にされない。そしてついに、夜がコスギを掴まえた時、ある行動に出るのだが、そこから後は観客の想像に委ねられて終幕。

    いやあ、凄いものを観たなあ。とにかく登場人物1人1人が、全て尋常ならざる存在で、一瞬たりとも予断を許さない。潜在意識に深く働きかけるような、創意工夫に満ちた傑作ホラー。

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    2019/02/05 09:35

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