ボスがイエスマン 公演情報 万能グローブ ガラパゴスダイナモス「ボスがイエスマン」の観てきた!クチコミとコメント

  • 「ボスがイエスマン」を観て(柿原紗千子さんによる劇評・まどかぴあ代理投稿)
    ガラパゴスダイナモス公演「ボスがイエスマン」の案内があった。劇評を書くためだ。

    内容は「ガラパゴスという劇団の5周年記念公演だそうだ」くらいしか分からない。会場もぽんプラザとのこと。久留米に住んでいる私には、名前にあまりなじみがない。劇団のことをネットで調べ、会場の場所は劇団の橋本さんというひとが親切に応答してくれた。
     調べているうちに、若いひと向けの出し物かもしれないと思った。第一、劇団名も“万能グローブ・ガラパゴスダイナモス”と中高年の私には長すぎて覚えにくい。ひょっとすると劇は、理屈っぽく小難しいものではないか。劇評が書けるほど「理解」して観ることができるかと、少々不安になった。
     さて、話は舞台に。

    ネタバレBOX

     場面はビルの半地下。所属していた事務所からの独立パーティー準備中。仲間たちがそれぞれの事情を抱えながらも、集まってくる。セリフのやりとりも動きも自然だ。わざとらしさがなく観ていて気分がいい。話の筋にすんなり入ることができた。
     参加は7人。未華子(横山祐香里)・宮崎(多田香織)・大倉(石橋整)・小出(椎木樹人)・濱田(どん太郎)・比留間(松野尾亮)+マネージャーだ。そこに仲間のひとりが新人・木部(阿部周平)を連れてくる。誘っていない事務所の売れっ子・水川(眞島左妃)もやって来る。ところが、独立をリードしてきた肝心のマネージャーが来ない。携帯も繋がらない。
     なぜマネージャーは来ないのか。独立参加を誘わなかった水川とボスにパーティーを知らせたのは誰か。ミステリータッチで議論が始まり、舞台は熱を帯びてくる。裏切り者は誰だ。観客としては、この仲間から裏切り者は出したくない。ブレヒトの言葉で「異化効果」というのがある。この場合そんなものどうでもいい。劇の中に自分がいる。
     グッピーを気にかける優しさを隠し、ワルぶっている比留間。木部とのやり取りの場面では泣いてしまった。尾崎豊ファンを演じる未華子がほほえましい。どの役者もひとり一人取り上げて書きたい出来だ。ていねいな作りの劇だ。裏切ったのは誰か。水木はなぜ来たのか。マネージャーはどうなったか。最後まで緊張の連続だ。
     劇評を書けるかと心配したことは杞憂に終った。この劇団の脚本・演出・役者が、もろもろの不安を見事に覆してくれ、素晴らしい感動を与えてくれた。
     “万能グローブ・ガラパゴスダイナモス”・・・もう、すっかり覚えた。

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    2009/03/25 17:45

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