満足度★★★
ビアホールなどで、一仕事終った後の若者たちが大勢で埒もなくさわいでいる。聞くともなく聞こえる話題のどこが面白いかと横で飲んでいる者は思うが、当人たちは元気よく上機嫌、楽しそうだ。いいなぁ、若いうちだぞ。
ボクラ団義は十二年目というが、初めて見た。小さな劇場ながら十数公演もあり、客席には追っかけファンらしい客も多い。開演前から前説に凝るサービスぶりだ。話は、本格ミステリのパロディみたいな謎解きで、老陶芸家が死んで、葬儀に集まった十三人全員自分が犯人だという、さて、誰が真犯人か。一人刑事役が加わって、小さな舞台にほぼ全員が出ずっぱりである。十三人の役どころは、コミックの人物ように決まっていて、みな懸命に声張り上げて自分が犯人だという。
主な筋は陶芸家の贋作問題と、彼の家族関係。どちらも、思い違いからの筋書きがいくらでもできるから、終始をつけるのは大変で、2時間20分、葬儀参会者が右往左往する舞台である。意外な結末もあるが、そこから何か世界が開けるわけでもない。
とにかくその場を面白くというコミックと2・5ディメンションの影響が濃い。それが悪いとは言わないが、今までの演劇にない新しさがあるかというとそうでもない。前説にこだわったり、やたらと動けばいいと思っている演技はキャラメルボックスで辟易したスタイルだし、行き届かせようとはしている物語も無理が目立つ。これから先、このグループから時代のリーダーが出てくるとすれば、どこなのか、見当がつかない。なにもないのかもしれない。