はこづめ 公演情報 ハコボレ「はこづめ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    ”パンク-ロック”という表現が似つかわしいような公演。舞台は近未来を思わせるが、内容は反骨精神、粗削りと言った雰囲気が漂い、自分には懐かしく既視感のようなものがあった。そう言えば映画界に「爆音映画祭」というものがあり、映像と音楽をコラボさせより映画の魅力を高める効果があると…。
    さてタイトル「はこづめ」は、箱という劇場で芝居の魅力を表現し伝え、(印象に)残したいという思いを込めているらしい。この思い、劇団名のハコボレ(刃毀れ)どころか鋭い切れ味(感性)を示していたが…。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台は荒廃した星。登場人物は廃品回収・処理が生業のロック好きの青年、廃品から何でも作る技術者。そしてある惑星から来た音楽家の3人。それぞれの特徴が舞台配置になっている。下手側にロック好きの青年-ドラム、上手側にアンテナ、諸々の機械類が置かれている。この配置はバンドの基本”隊形”で中央にボーカル、上手側・ギター、下手側・ドラムの立ち位置であり、それぞれの思惑が蠢く。

    梗概…出身が異なる三者が出会い、音楽を教える代わりに宇宙船を修理する約束をする。互いに協力していたが、不穏に鳴り響くサイレンの音によって仲違いが…。3者にはそれぞれ隠し事があり、相互に絡んだ関係にある。その謎(問題)が露呈した時の思い、それは自分の気持と相手を思い遣る気持の間を揺れる、遣る瀬無い思いが熱く伝わる。

    先に記したが、近未来の設定ながら昭和の時代を感じさせる。惑星の間に過疎星と過密星?という格差が生じ、例えば金星等は上位星になるという。その上位星の人々の気まぐれ娯楽で、下位(屑)星は消滅させられる運命にあるという。その消滅景色が愉悦を覚えるという厭らしさ。ラストのロックを奏でるシーンは、弱肉強食の経済社会への皮肉、体制への反骨といった構図のようで、ある時期の日本の若者風潮に通じるところがあるような…。この結末のままで良いのか、もう少し掘り下げた展開が好いのか。自分としては”音楽抵抗”のままでは既成の展開で面白み、印象が弱い。出来れば近未来の姿を借りて現代にある課題・問題を浮き彫りにし、もっとアイロニーを出してほしかった。

    役者は3人のみ、21~22歳の同世代の若者が熱演。音楽が熱演(まさしく爆音演劇)に拍車をかけ、熱い思いがしっかり伝わる好公演であった。次回公演を楽しみにしております。

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    2019/01/14 22:38

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