oboroge 公演情報 劇団ピンクメロンパン「oboroge」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    異様な雰囲気、不思議な世界観を醸し出している公演。チラシでは「異色かつ定番、スタンダードなトリックプレー、怖くて可笑しい作品」としているが、タイトル「oboroge」は”朧気”のようであり実体が掴みにくい公演であった。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台は白いモールがカーテンのように横展開で吊るされている。板は変形菱形のような台座が左右に置かれ、その上を駅ホームや室内に観たてる。張りぼての慰めのような世界。薄っぺらい自分、いや自分が何者かも分からない空虚さ。

    梗概…私は、気が付けば古びた洋館におり、記憶を取り戻すためにそこに住み始めた。洋館の雰囲気は不気味で、そこで働く人々は奇妙な言動をする。怪しげな言葉の1つが、開けてはいけない部屋があると。そう言われると興味が湧き、そしてある存在と対面するが…。
    物語は自分・女1:岩崎千尋(律人サン)の心の彷徨を本の世界へ姿を変えて展開する。その表現は、開けてはいけない部屋は、2つの世界を繋ぐ空間。現実なのか妄想なのか、パラレルワールドのようにも思えるが、1人の人間に内在する苦悩・問題等であれば同一時空にあるもの。その不思議な感覚がこの公演の見せ場であり魅力かもしれない。

    さて、自分は第29回池袋演劇祭参加作品「量産型ガラパゴス」も観劇しているが、こちらの作品は世界観の広げ方と暗部を抉り出すような急転に驚かされた。それに対して本公演はこじんまりと女性の心象劇に止まったように思えた。もちろん世界観の壮大さで比較するのではなく、「oboroge」では千尋が心の彷徨をする確固たる理由付け、その果てに得たもの学んだことが解り難かった。人の心という主観だけを深堀しても観えてくるものは限られ、その周囲・状況などの客観的な事柄を同時並行して描き補強することが大切だと思う。

    役者の演技は繊細かつ熱演であり、舞台技術(特に照明効果)は妖しく朧気な雰囲気をしっかり醸し出していた。その意味では空間処理は見事である。
    次回公演を楽しみにしております。

    1

    2019/01/14 10:44

    1

    0

  • 劇団ピンクメロンパン 御中

    タッキーと申します。
    第30回池袋演劇祭一般審査員を務めさせていただきました。その立場上、審査対象公演について公表することを差し控えてきましたが、授賞式も終え、年末には「演劇人」も発行されたことから、遅ればせながら感想を記載しました。

    今後ますますのご活躍・発展を祈念しております。

    2019/01/27 22:53

このページのQRコードです。

拡大