野平一郎がひらく オペラ『亡命』(世界初演) 公演情報 サントリーホール「野平一郎がひらく オペラ『亡命』(世界初演)」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    5人の演者が15名を演じる。演奏会形式は、演劇で言えばリーディングか。
    ハンガリーから自由を求めて亡命しようとする、2組の友人夫婦。1組は亡命し、もう1組は失敗する。
    音楽として聞いているといいのだが、ストーリーに納得できず。

    ネタバレBOX

    西側に亡命した夫婦は、学ぶことの自由、創作することの自由を得た。ラストで亡命を失敗した夫婦の妻と成功した夫婦の妻が電話で話すのだが、亡命に成功した妻が失敗した妻「(西側に逃れた者と残った者の)どちらか“亡命”したのかわからない」のような台詞で終わる。
    「何それ?」と思った。ハンガリーがすでに社会主義の国でなくなったことと、亡命した側が“根無し草”になったということからの発言なのだろうが、それってどうなんだろう。

    亡命しても「祖国」ってそんなに大事なのか。「国」ではなくて「(生まれ育った)土地」ならばわかるのだけど。「祖国」は何をしたのか、それによって亡命したのではないか。

    西側に亡命した作曲は、やけにトントン拍子で成功していくのだが(その頂点がベルリンフィルからの委嘱・・・?)、そのトントン拍子の物語の裏で鳴っているのは、緊張感と不安感たっぷりの現代音楽なのだ。
    さらにプロローグとエピローグが精神科医(亡命した夫婦の妻が精神科医)の診察であり、診察を受けている男たちの台詞が、夫の作曲家と重なるようだった。
    したがって、オチ的には「亡命して西側で成功したと妄想する作曲家」なのではないかと想像しながら見たのだが、そうではなく、彼らは“成功”していた。

    今の世界において、どうして「亡命」というテーマで、このような内容になったのか。
    東側から自由を求めて亡命したことが、徒労だったと言いたいというわけではないとは思うのだが……どうもピンとこない。
    今現在も自由に創作できない国もあるというのに……。

    亡命できなかった夫婦の妻はユダヤ人で、すでに亡命を経験していて、亡命先(つまりハンガリー)で迫害を受けていた。そうした内容と全体を上手く絡めれば、メッセージになったようにも思うのだが。。

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    2019/01/08 09:11

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