母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ 公演情報 劇団 短距離男道ミサイル「母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    2011年4月、震災を受け誕生した劇団だという。

    『人間失格』を見事にベースとし、おもしろうてやがてかなしき、懺悔・後悔・罪悪感・自己嫌悪、そして自戒からその先へ。
    太宰の『人間失格』が内在する虚実と、本作のフィクション&ノンフィクションの呼応。「道化」が目の前にあった。

    ネタバレBOX

    仙台で一番勢いがあるとも言われているし、この作品はCoRich舞台芸術まつりで グランプリを受賞している。

    太宰治の『人間失格』を見事にベースとし、おもしろうてやがてかなしき、懺悔・後悔・罪悪感・自己嫌悪、そして自戒からその先へ。
    太宰の『人間失格』が内在する虚実と、本作のフィクション&ノンフィクションが呼応する。

    前説から笑わせながらそのまま本編に入るスタイル。
    それは、彼ら自身の体験が作品内で語られているからだ。
    その「体験」の内容はかなり重いものがあったりするし、家族からの生のメッセージもあったりもする。
    「普通に仕事をして結婚して子どもをつくって……」という家族の切実な想いだったりする。
    サイコロトークで『人間失格』を見せたりして、結構笑わせるところもあるのだが、それは『人間失格』で主人公が言う「道化」が目の前にあったのだ、とも言える。
    笑いながら彼ら自身の内面に降りていくことになり、かなり辛い作業になっていくのがうかがえる。

    先日観た、京都の劇団、烏丸ストロークロック『まほろばの景』でヒリヒリするような凄い姿を見せていた小濱昭博さんは、ここの役者である。『まほろばの景』は3.11を扱った作品。
    その彼が白ブリーフ一丁で舞台にいるのには違和感があったのだが(え? 同じ人?)、作品が進むことでその姿は一致していく。

    荒いところもあるが、ものすごい作品だ。
    しかもとても真面目だ。


    実は、演劇ウオッチャー・高野しのぶさんの一連のツイートから(ありがとうございます!)この公演に行くことを決めた。それらを読まなければノーチェックの劇団だった。仙台の劇団なので、今回見なければ次は相当先になってしまったと思う。

    短距離男道ミサイル『母さん、たぶん俺ら、人間失格だわ』のラストはレナード・コーエンの名曲『ハレルヤ』で、先日のキュイ『きれいごと、なきごと、ねごと、』もラストは『ハレルヤ』(ヘンデル)。歌は違うがこれは偶然ではなく必然。赦しと讃えはセットだ。

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    2019/01/08 02:57

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