満足度★★★★
台詞なしの殺陣芝居ということでアクションの見せ場はもちろんたっぷりだったけれど、それ以上に孤独な鬼と女の物語が切なくて胸に響いた。
死なない鬼の手に託された赤ん坊が少女から大人へと成長していく姿を、4人の女性が演じ分ける。
人間の時間にしたら、長い長い物語のはずだ。その時間を、寓話……というよりやはり御伽話めいた、あるいはむかし読んだ絵本のような、シンプルな表現と迫力あるアクションで綴っていく。
鬼が幼子と歩む場面や握り飯をほおばる様子など共に過ごした時間が細やかに描かれることで、それぞれの想いに説得力が生じた。
鬼を演じた竹村晋太朗さんが、脚本と演出と殺陣を担当されているのだという。あの素朴な笑顔を浮かべた孤独な鬼の姿を思うと、この人の他の作品も観てみたい気がした。