満足度★★★★
鑑賞日2018/12/23 (日) 11:00
日曜11時の回にもかかわらず、席は満杯。トークがあるというのが呼び水になったのか、テネシー・ウィリアムズのこの小編に何か魅力を感じたのか。
割と厳しめの評価が多いけれど、本来ならリーディングでしか成り立たないであろう、10代前半の2人の男女の会話劇を、よくまあ、身体表現と僅かな舞台装置で「描く」ことに徹したなあ、という点で感心しきり。ただ、万人受けはしないだろうなあ、と思ったけれど。
トムとウィリーの会話に、亡霊のような死んだ姉を登場させ、舞台を徘徊させたり、狂気じみた踊りを展開させたり、ウィリーのセリフを再現させたり。そこには、ウィリーの姉への敬愛に見え隠れする嫉妬、全てをウィリーに譲り渡して病死していった姉の執着と悔恨がほどよく描かれている。ウィリーにほのかな恋心が芽生えたトムが、ウィリーの言葉1つ1つに右往左往させられる姿が、切なくもかわいい。
必ずしも、2人を10歳代前半と想定はしていないようだけれど(ウィリーがしばしば酒をあおる)、実際の役者さんの姿形と相まってまさに年齢不詳、針貝さんが評したような「夢幻能」、死霊の世界を感じさせる演出は、生者と死者の交換を見せられているような雰囲気がとても素晴らしいと思う。