GIFT~Love begets love~ 公演情報 劇団PEOPLE PURPLE「GIFT~Love begets love~」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

     写真家志望の女の子が彼との結婚式当日、12月25日に個展を開く。

    ネタバレBOX

    彼は彼女の最も良き理解者。彼女の対象は日常を一所懸命に生きる庶民である。その中にはホームレスや職人、街中で偶々出会った恋人たちなどがいる。良い写真というものは(何も写真に限らないが)対象の本質をキチンと掴んだ上で、作者の生き様が籠っていなければならない。写真は被写体との関係があるから、被写体の本質を写真に写し込む為には、被写体のnuditeを寫し込まねばならないのは、当然のことだから被写体との信頼関係を構築する所から始めるのはプロを目指す者の必然だ。序盤この辺りのことは軽く触れられるのだが、リアリティーに乏しい。対象が座っているのに、写真家が立ったまま撮ったり、見下ろすような角度から撮影するなど通常あり得ない。更にワンカットしか撮らないとおいうこともあり得ない。用意できる機材のレンタル料もあるであろうが、連射できない機材なら少なくとも2~3カットの撮影は望みたい。親方だけは、状況から1カットのみでも可だ。そうすることによって作品の膨らみが増す。時間的に尺がそう伸びる訳でもあるまい。戦場カメラマンも出てくるが、彼らは、カメラを構えたら震えが止まるような人種である。自分の周りにも何人も戦場カメラマンが居るが、生き残っている彼らに共通する能力がある。それは、瞬時に多数の音声を聞き分ける能力である。この能力故に彼らは生き残って来たと自分は信じている。命懸けの取材とはそういうものだ。脚本家、演出家は、プロの基本をもう少しキチンと調べておくべきだ。いくらクリスマス向けの作品であっても、この程度の認識ではキチンとした仕事をするプロに対して礼を失することになろう。役者達もかわいそうである。ストーリー展開もペーパーテストでそこそこの成績を取る連中の、大きな失敗も無いがユニークさは微塵もない答案のようだ。
     自らを創作する者と位置付けるだけの自負を持ち、そのような人物を描きたいなら、創作者の抱える本質的な地獄と孤独、孤立を通した普遍性が描かれて居なければならない。それができて初めて創作の入り口に立つのである。自分が、観たいで書いた知り合いの女性カメラマンは、真の創作者である。それが初めて彼女の作品に出会った時、即座に分かったから彼女の高い才能を認めたのである。今作を観る観客の中にも本質を見抜く観客は居るだろう。そのような観客の目を意識して作品作りをして欲しい。求められるのは、そして残るのは、量にアピールするだけの作品ではなく、質で唸らせる作品だけである。
     キャラで気に入ったのは、職人の親方と奥さん、留学生の李くん、癌を患う母の面倒を見るお姉ちゃん。

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    2018/12/21 13:37

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