あゆみ 公演情報 feblaboプロデュース「あゆみ」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★

    初日観劇。
    平凡な女性の一生を8人の女優で紡いでいく物語。演出(池田智哉氏)は、1人の女性を表出するため丁寧にしかも抒情豊かに描いていた。もちろん、時間の流れ、女性らしい成長過程も観て取れる。そこは「人間」という括りではなく、あくまで「女性」を意識した展開で、あぁそうなのかと納得しそうだ。
    脚本、演出は良かったが、演技が少し硬く平面的のような(悪くはないが)…。

    (上演時間1時間30分 途中休憩1分_飲み物、ストレッチ時間)【てくてくver】

    ネタバレBOX

    囲み客席、舞台は張り合わせカーペットを敷き詰め、中央に一段高くした2畳大の台座。冒頭、出演者は丸椅子を持って四方の客席前に2脚ずつ計8脚を置き、それぞれ違った楽器(ピアニカ、リコーダー等)を演奏し出す。
    劇中歌は「さんぽ(歩こう 歩こう わたしは元気♪)」など懐かしく、また物語に添った上手い選曲である。

    梗概…1人の女性の生涯を全員のキャストで紡ぐが、まずは立ち歩きの”一歩”が記される。小学校・高校・就職・結婚・出産そして老後を”あゆみ”という道程に時々の心情・情景を織り交ぜる。その平凡なエピソードの積み重ねを観客自身の記憶と重ね合わさせて心を揺さぶるという巧みな構成。四方の客席に沿って歩く姿が”あゆみ”であり、中央の台座は、年齢を経ても家族・家庭といった拠り所になっているようだ。

    この見せ方、例えば時の経過は学校とか就職という状況で説明されるが、さらに記念撮影でのフィルムカメラ、デジタルカメラという時代間隔で想像させる。照明にしてもシャッターに合わせてフラッシュ閃光のような変化をつけるなど細かい配慮が好い。また1人の女性を全員で演じることから、全員が白っぽい衣装を着て個人を特定させないような配慮。しかし、女性主人公の心理状態など心情変化にも対応できるよう、同色だが、デザイン等は異なる工夫を施している。

    総じて若い役者の演技は、元気ある躍動感で清々しいが、人の一生の歩みは同一ではない。年齢を取れば歩みは遅くなり、例えば施設(病院)に入所しているであろう主人公が散歩(認知による徘徊か判然としない)の歩み幅など。また子供連れの時は子の歩みに合わせると思う。
    時代(学生、OL,母など)ごとの心情表現の変化があまり見られない。主人公が母親になった時、自分と母、自分とその子の3代に亘る関係の変化が見られない。そこは幅広い年齢層の役者が演じれば、作品の奥行きが増すかもしれないところ。
    初日ということもあるのかもしれないが、少し硬く、深みある女性描写に乏しかったように思えたのが残念。内容的には面白く楽しめる作品である。
    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/12/16 10:05

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