満足度★★★★★
鑑賞日2018/12/09 (日) 15:00
座席1階
2005年初演のこの劇団自信作。再演にあたり、満を持しての登場だ。「大家さんと僕」で手塚治虫賞を受賞した異例の芸人、矢部太郎がいい味を出している。これから北海道や岩手などで地方公演もあるという。その地域の皆さん、見ないと損するぞ。
人気作とあって、本日千秋楽には午前中に追加公演が組まれた。客席を埋めた千秋楽のお客さんはちょっとおとなしかったようだが、かなり大笑いできる部分も多く、成功していると思う。普通なら、もっと笑いの渦が起きてもおかしくない。
ゼブラとは白黒のシマウマ。これがお葬式の白黒の幕につながるのだが、4姉妹それぞれに女手一つで育ててくれた亡くなった母親への思いが舞台に交錯する。この交わり方のテンポがよくて、まったく飽きさせない展開で舞台は進んでいく。認知症と思われる症状で入院して最期を迎えた母親の気持ちも涙を誘った。
やはり脚本の妙なのだろう。作・演出の田村孝裕は配られたパンフレットで「20年たってもソコソコの劇団」と謙遜するが、同時に書いている「底力」を見せつけている。4女それぞれの性格がおもしろいし、それぞれが大人になって抱えている事情も面白い。末っ子を元モーニング娘。の新垣里沙が演じている。まあまあの存在感だ。
あえて言えば、矢部太郎のために作ったとしか思えない最後の最後の部分は余計だった。わたし的に言わせてもらえば、その手前で暗転、幕切れにした方が感動が倍増した。
葬儀の生前予約、というのは今風だ。また数年後、例えば劇団30周年でもやってみてほしい。また、違った空気感で笑ったり泣いたりできるのではないか。