思い出すならAnotime 公演情報 演劇集団 Z-Lion「思い出すならAnotime」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    過去の記憶を呼び起こす装置開発に勤しむ研究所を舞台にした物語。
    近未来で進化している生活様式がいろいろと想像力を刺激して楽しいです。
    中には過去の記憶を呼び起こすより、ずっとインパクトある発明品が散らばっているにはいるけど、あくまで軸となっているのは「記憶」

    思ったより笑いはずっと抑え目、その分ドラマ性や人物描写に力が注がれており、丁寧な演技に加え要所要所で役者さんが順々に語り手となり進行していくのも分かりやすさの手助けになってイイ感じの流れ。
    そして、こちらに語りかけてくるような演技をかなりバックアップしていたと思えたのが見事な舞台美術!
    設定となる「50年先の田舎町にある研究所」がモチーフなのでしょうが、限られた舞台スペースにこだわりのアイデアと美意識がびっしりと詰め込まれ、一瞬美輪明宏さんの舞台かと思ってしまったくらい。
    これが照明によって様々に表情を変えていくのがイイ。
    衣装や音響効果もさり気なく世界観に溶け込んで公演を上質な時間に彩ります。
    非現実世界へと容易にふんわりと導いてくれる強力な美術力が強く印象に残った公演でした。

    ネタバレBOX

    研究で扱われる「記憶」には、その時の感情も付随してくるのかどうかハッキリ言及していないのが気になりました。
    感情込みではない純粋な体験情報の掘り起こしではファンタジー色が薄れてしまうし、感情込みとなるとそれこそ頭の中が感情の渦で溺れてしまいそう。
    ストーリー的にはおそらく前者だったと思えるのですが、そうなると果たして記憶喪失の解決とダイレクトに結びつくのか?というモヤモヤが。

    10年前の体験を詳細に思い出せるということは365日×10年分の記憶が蓄積されているということであり、それって情報量の多さで脳はパンクしないのかといった邪念をファンタジーの力で拡散させたかったのですが、丁寧な表現演出が中々そうさせてくれない足枷となる一面も感じました。

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    2018/12/01 11:42

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