こっちとそっち 公演情報 劇団時間制作「こっちとそっち」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★★

    ある程度生きていると、当然いろんな感情や体験の数が増えるわけで、芝居観ていても自分の記憶の中に眠っていた感情が急に溢れ出すことがある。というか、ある程度のことは感情というものの感覚が我が身をもって感じられるわけで・・・しかし、これはそれなりに生きてきたからのことで。この脚本があんなに若い方に書かれていたとは・・・そういうセンスを初めから持っている方なのか?それともそういう資料を読み漁って作ったのか?まさかあの歳で考えられないくらいの体験をしているのだろうか?と狐につままれたような気がした。

    ネタバレBOX

    据えた匂いがしそうな、その場所へ詰め込まれた人々の体臭のようなものを感じさせるセット。男女の営みの匂い、敷いたままの布団、インクの染みついた部屋、そして家族の隙間の空気。外部から受ける溜まったものを遠慮なしに吐き出す人々がそこにいて、それを受ける側も次第に鬱屈していく。生活感の違い、取り残される孤独、家族を知らない者に与えられた誤解を生む優しさ、相手に縛られている自分とそれを認めたくない自分、繋がらない家族の想い。盛りだくさんで感情の強さに圧倒された。印象的だったのは子供が見えない母。私がもっとも恐れていること(今のところボチボチ大丈夫!)。そして「差別しているのは、こっちですか?そっちですか?」(どっちが先か忘れました!)、これは常に思うところ。差別はなくならない、表には出さなくても、誰を見下している者も、誰かに見下されている。その差別の階段の中にいない者はいないと思う。それでもジタバタして、時に友を得て、支え支えられる相手がいれば、人は前を見れるという前向きな部分が残ったのは良かった。
    前作に続き、感覚が鈍くなっているオバサンの忘れかけた感情を引きずり出してくださって、感謝しております。

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    2018/11/26 20:00

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