トリックスター 公演情報 SPIRAL MOON「トリックスター」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    現代の典型的な犯罪と言っても過言ではない題材をコミック・サスペンス風に描いた作品。何となくある映画の二転三転する展開とペテンで悪者を懲らしめるようなところが似ているような…。
    物語の中心は世間的には反社会的勢力と言われている組織。そこで交わされる民主主義を絡めた場面が…。
    (上演時間1時間30分)

    ネタバレBOX

    舞台は滝川組というヤクザの事務所。中央奥に事務机や飾棚、上手側にテーブル、下手側に応接セットが置かれている。上手側張出し部分がベランダ、舞台と客席の間を街路に見立て演技する。

    梗概は、滝川組の一人娘の名を騙ってオレオレ詐欺の電話が掛かってくる。高齢者や人の弱みに付け込んだ詐欺グループを策略を巡らし懲らしめるという痛快な話。並行してヤクザの家における母と娘の怨嗟が切々と語られる。そして2人の関係にはある事情がある。このコミカルとシリアスという両極な演出が物語に陰影を刻み観応え十分なものにしている。

    物語は典型的な現代世相を切り取ったオレオレ詐欺…2017年には18,000件を超える認知件数、390億円を超える被害額であったそうである。現代的と言えば、劇中に民主主義・多数決(国民の多く)に絡め政府(為政者)の平和、原発等々の課題・問題の対応に批判的なシーンが少し長く、停滞感が漂うような。内容的には共感するが、芝居としては、既に王様(為政者、権力者)が一番の詐欺師というシーンがあり、何を訴えようとしているか一目瞭然であるだけにもう少しサッパリと描いても伝わるのではないか。逆に理屈が先行すれば、意見が一致することよりも、違った意見をぶつけ合ってる状態の方が正常という考えも出てくる。

    ヤクザと暴力団の違い?は堅気に迷惑をかけないこと。いずれにしても反社会的勢力に見なされ警察のブラックリストに載っているだろう。さて、1960年代に製作されたヤクザ映画は任侠道と呼ばれ義理人情を売りにしていたが、この公演でもその路線上にあるヤクザ一家として描かれている。その意味では”蛇の道はヘビ”、今日的犯罪集団と半世紀前の任侠ヤクザの騙し合いは、娯楽芝居として楽しめた(警察がヤクザに協力しているのだから)。
    最後に、ある映画とは「スティング」。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/11/18 17:04

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