享保の暗闘~吉宗と宗春 公演情報 雀組ホエールズ「享保の暗闘~吉宗と宗春」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    質素倹約(緊縮財政)規制緩和(金融緩和)という現代にも通じる政策論議を柱とした物語。史実とフィクションを絡め、踊りや殺陣で観(魅)せる芝居は楽しめた。
    そして為政者とは、その正義を貫く姿勢は、現代にも通じる。
    (上演時間2時間15分)

    ネタバレBOX

    舞台は上手側に少し高い上座を設え、後景は月が欠けたような衝立に古文字が書かれている。ほぼ中央に桜の木、下手側に赤い欄干のようなものが見える。全体にシンプルな造作であるが、それは中央客席寄りに殺陣スペースを確保するため。なお芝居は客席通路も使用し躍動感を持たせる。

    梗概…説明のとおり、江戸時代中期、八代将軍吉宗の治世(享保の改革)で質素倹約令を推し進めた幕府に、真っ向から反対し、民に文化的な生き方を奨励、生きる意味と喜びを与えた尾張七代藩主・徳川宗春がいた。幕府と宗春、相容れない二つの立場に繰り広げられた「暗躍」「策略」「忖度」「暗闘」、平和な時代と言われた江戸中期の裏で、熾烈な戦いが幕を開ける。
    確かに武士としての暗闘場面(殺陣)は迫力があるが、他方、庶民が生き活きと生活する様を現代にある小物(携帯電話やサングラス等)を持って豊かさを表現する。しかし、文化的豊かさを演出する一方、その対比としての享保の改革の”質素倹約”が見えてこないのが残念。

    この公演は、2人の将軍職後継を巡る対立ではなく、あくまで治世の視点をもって描く。その考える方向・方法は相違していたが、”正義は1つではない”という台詞に象徴されていた。
    しかし、将軍と尾張藩主という大局観の相違が前面に出ているが、治世の対象となる農民、庶民の暮らしが浮き上がらないため、2人の相違に具体性が伴わなくなり、台詞のみの説明に終始したのが勿体無い。2人の考え方の違い、同時に部屋住みという共通した境遇の親しみやすさが微笑ましい。そこに老中や勘定奉行の思惑を絡め、史実・フィクション綯い交ぜにしダイナミックに展開させる。まさに娯楽時代劇として大いに楽しめた。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/11/16 11:11

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