黴-かび- 公演情報 BuzzFestTheater「黴-かび-」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

    タイトルはもちろん衣類等につく目に見える黴ではなく、人という物に憑く見えない傷を表している。パンフにある「僕の心の黴は水では洗い流せない…」とあるが、涙で浄水-浄化することが出来るような、そんな心魂奮える作品。
    (上演時間1時間50分)

    ネタバレBOX

    舞台はある板金工務店の居間。上手側手前に台所・食卓、奥に玄関。下手側に座卓が置かれ中央奥に2階へ上がる階段が見える。階段横に、今は物置と化した黴臭い部屋がある。2階は高校生の妹の部屋で全体的に現実・生活感漂う造作である。

    梗概…主人公は立石板金工務店の主、7年前に母を同乗させた車でひき逃げをしてしまった。もうすぐ時効になるが、この間、そしてこれからも心の荷を背負い続けていく。この主人公を中心として登場人物全員が何らかの傷を負っている。黴のように除菌出来ない苦しさを抱えた日々の暮らしは陰鬱だ。その心情、閉塞感はじっとり纏わり付くようだ。

    舞台構図から見ると1階は心痛の場、2階はその逃避先の場であり、二重空間を用いて怒哀(もちろん喜楽はない)を見事に演出している。何となく俯瞰しているような。
    結末は、予定調和のような気もするが、それはそれで良い。しかし黴と同様、早めの手当て(正直なこと?)が必要だというような寓意劇と言うよりは教訓的な流れに観えたところが勿体無い。7年間黙してきた現実、もう少しで時効という目に見えない壁を前にして悔悟・謝罪の気持が、そういう流れなのだろう。

    次回公演も楽しみにしております。

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    2018/11/03 17:11

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