マイディア・ディアマイドール 公演情報 夢幻舞台「マイディア・ディアマイドール」の観てきた!クチコミとコメント

  • 満足度★★★★

     開演前に中程から奥は幕で仕切られている。出捌けは上手、下手共左右の手前に広い黒幕、奥に狭いそれが設えられ、中程から奥は、画家のアトリエ、高くなった中央奥にはイーゼルと椅子が据えられ、壁には様々な様式の絵が飾られている。手前はフラット。

    ネタバレBOX


     嘘の大嫌いな女王が支配する国。其処に流れて来た人形師、ライアと彼女が最初に作った人間人形ニコ、そして弟人形リグ。お隣さんで絵描きのネイバーフッド、女王ロード。登場人物は以上だ。
     ニコは、従順で余り冒険をしたがらない。ちょっと引っ込み思案な所も見られるが則を越えないタイプ。それに引き替え弟のリグは活発で冒険心に富み、何にでもチャレンジするタイプで同じ人形師が作った作品であるにも拘わらず個性が全く異なる。オープニングは首輪をされたニコの独白シーンから。この国の掟である、嘘をついてはいけないこと、破れば恐ろしい刑罰が待っていることなどが語られる。作り手であるライアとニコの対話の後、新たに弟が完成したことが告げられ、誕生祝いのパーティーが開催されるが、真夜中に大音響で流される音響に隣人のネイバーフッドが怒鳴り込んでくる。口論を収める為にパーティーに彼を参加させてしまうライアだったが、パーティー直前にネイバーフッドに出会い人間らしさや自由意思の意味する所を聞かされていたリグは、彼に預けられ外の世界を見ることになる。ある日、大衆に芸術の持つ歌舞く機能を蔓延させない為に、彼の作品を毎年買い上げて来たロードから連絡が入る。頼んでいた作品の督促であった。苛立つ彼女は、電話だけで飽き足らずネイバーフッドのアトリエを訪ねてくる。慌ててリグを別室へ逃した彼に女王は執拗に迫る。というのも女王は芸術はマヤカシであり人々をその巧みな表現で誑かす嘘そのものだと判断しており、これまでも彼女自身で芸術家を排除・作品を駆除してきても居たからである。但し、これには例外があった。ネイバーフッドはある計画を持ち掛けていたのだ。その計画とは、ネイバーフッドが他の芸術家たちを次々に消してゆくことを条件に、彼とその作品だけは庇護するというものであった。女王はこの件を呑んで彼の作品を庇護してきたのであるが、作品提出の遅れを梃に腹立ち紛れに彼を処分してしまうつもりになっていた。
     一方、女王は督促に訪れる序に、ライアの屋敷で留守番をしていたニコを襲い機能停止に追い込んでいた。アトリエにやって来た女王は、機能停止したニコを投げ出し、久しぶりにリグに会いに来ていたライアを含めアーティストや人形を破壊しようと向かってくる。これを受けたアーティスト、人形軍団は迎撃、ネイバーフッドは右目を潰されるものの、アーティスト集団が勝ち彼らは自由を得た。
     一見ファンタジーの作りだが、現在日本が置かれている嘘蔓延社会やメディアやネットでのフェイク、情報の組織的隠蔽と組織に属する下司共の利害絡みの虚偽や、正当な者・判断への嫌がらせ、脅し、意図的フェイク、誹謗、中傷等々を踏まえているのは、ベクトルを変えアイロニカルに提示した今作の健全を見れば分かる。
    今年は、フランスの5月革命に刺激され、メキシコで起こった1968年10月2日のトラテロルコデモでの大虐殺事件から50年の節目でもある。更に悪辣さを増し、猛威を揮う現代資本主義のあからさまな収奪や嘘によって事実を隠し、彼らの利害だけに誘導しようと日々暗躍する権力者、為政者、資本家などの下司に対し、新たにメキシコ大統領に就任するのは、AMLOの愛称を持つエンリケ・ペーニャ・ニエト。トランプの移民政策に真っ向から反対し、アナルコサンジカリズムの旗を掲げたあの頃の民衆の声を代弁すべく立ち上がったAMLOのように、異議申し立てをどんどん拡大すべきであろう。分断されぬよう、大同団結を図り、全世界で真に自由な人間とあらゆる生命を守る為に行動しよう。そう年寄にも思わせる健全な作品だ。
    我が日本では、沖縄の民意を潰す為にヤマトンチュの利害を利用しようとするかに見える現政権だが、ヤマトンチューの顔に泥を塗るな! と言いたい。理のあるのは、沖縄である。でああれば、手を引くべきは政府、アメリカである。僅か国土の0.6%しかない沖縄に日本の米軍施設の70%以上が集中しているのはおかしい。ホントに日米安保が必要だというなら、沖縄に集中させるのではなく、そう主張する人々の居住区に米軍基地と米兵を配置すれば良いのである。こういう当たり前の議論をすべきであろう。

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    2018/10/22 02:04

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